アメリカ軍などの機密文書がソーシャルメディアに投稿されていた問題で、21歳の男が逮捕されました。流出した機密文書について、国防総省は本物だと認めています。
流出した機密文書は100件以上にもわたりソーシャルメディアに投稿されていたとみられていますが、国防総省がこの事実を認識したのは、6日木曜日の ニューヨークタイムズ紙の記事だったということです。11日火曜日、ロイド・オースティン国防長官は「流出元とその内容を突きとめるまで、あらゆる手段を使って捜査する。」と語りました。
流出した機密文書は、ツイッターやテレグラムなどのソーシャルメディアで拡散され、他国についての極秘情報など上層部への報告に使われたスライドなどが含まれています。またウクライナ情勢について、この春のロシアへの反撃では成果があまり得られないと、国防総省が分析している文書があったとワシントンポスト紙が報道しています。こうしたスライドなどは、2月から3月に作成されたもので、比較的新しい情報が流出したとして深刻に捉えられています。
中にはアメリカから毎年多額の支援を受けているエジプトが、極秘裏にロシアに武器を提供しようとしていたとする情報も入っていたと報道されています。それによりますと、エジプトのシシ大統領が西側諸国との対立を避けるため、ロシアへの武器提供については伏せておくよう指示したということです。
そうした中、ワシントンポスト紙が12日水曜日夜、通信アプリ「ディスコード」で約20人が集う銃や軍用品愛好家グループのメンバーが、機密文書の流出に関わったと報じました。同じグループの10代の別のメンバーが匿名で証言しています。「初めて投稿されたときは心臓が飛び出すかと思った。信じられなかった。でも流出の深刻さには気づいていなかった。」とワシントンポスト紙のインタビューで語りました。証言者によると、この人物はOGと呼ばれ、米軍基地で働いている、カリスマ性がある銃愛好家のゲーマーで年齢は20代。去年の秋ごろからこのグループに機密文書の投稿を始めたということです。
13日木曜日、FBI連邦捜査局は、機密情報を流出させた疑いで、マサチューセッツ州の空軍州兵、ジャック・テシェイラ隊員21歳の身柄を拘束しました。テシェイラ隊員は、情報部門の所属でITが専門だということです。
情報を流出した人物の公表を メディアに先を越され、そもそもメディアに報道されるまで機密文書の流出にすら気づかなかった国防総省は、対応が後手後手になっています。ウクライナのゼレンスキー大統領は情報漏えいを受けて、すでに戦闘の作戦変更を強いられたということです。この規模の情報漏えいは国の安全保障を揺るがす大問題で、専門家からは 、今後、友好国との信頼関係が危ぶまれる可能性があると 懸念する声も出ています。