ニューヨーク市マンハッタンの中華街で、中国の秘密警察を運営していたとして男2人が逮捕されました。
17日月曜日、ニューヨーク連邦地検は、マンハッタンにある中華街で、中国政府の指示のもと「秘密警察」を設置し、運営していたとしてアメリカ国籍を持つ男2人を逮捕したと発表しました。2人が運営していたのは、表向きは中国の運転免許証・更新手続きのサポートなど、アメリカで暮らす中国系の人たちの生活支援を行う非営利団体の施設でした。しかし、実際は中国公安当局の指示のもと、民主化運動家を割り出し、活動を妨害するなどしていたということです。ニューヨーク連邦地検のブリオン・ピース検察官は「逃亡犯とみなす人物を中国に帰国させるため、アメリカの家族や中国にいる親族に対する暴力などで脅していました。」と語りました。
中国によるスパイ活動は、2月にアメリカ上空で撃墜された「スパイ気球」で波紋を広げ、ブリンケン国務長官が中国訪問を延期する事態となったばかりです。ニューヨーク連邦地検はこの2人の他にも、ソーシャルネットワークを使って中国政府に対する批判的な意見を見つけ出し、妨害する活動をしていた中国公安当局の職員らを訴追しました。ピース検察官は「この特殊部隊は偽の人物になりすまし、ネットに虚偽の情報を流し、反体制派を批判し、脅し、そしていやがらせをしていた。」と語りました。
また、ウェブ会議システムZOOM(ズーム)の社内に工作員がいて、民主活動家らの会議をハッキングし、妨害していたということです。ピース検察官は「工作員はやかましい音楽、いかがわしい叫び声や脅迫でビデオ会議を妨害していました。」と語りました。
ある人権団体の調査によると、こうした中国政府の秘密警察は世界に少なくとも100箇所以上 に確認されていています。中国政府は18日の会見で、こうした機関は存在しないとして容疑を否定しました。