トランプ前大統領が機密文書を不正に保持していたとして起訴されました。アメリカの大統領経験者が連邦捜査で起訴されたのは初めてです。
13日火曜日、トランプ前大統領はフロリダ州マイアミの連邦裁判所に出廷し、罪状認否に臨みました。トランプ氏は2016年の選挙活動中、機密文書について「私の政権では、機密文書保護に関する全ての法を厳守させる 」と発言していました。しかし、去年8月、FBI連邦捜査局がフロリダ州にあるトランプ氏の自宅を家宅捜索したところ、最高機密を含む複数の機密文書が発見されました。
8日木曜日、トランプ氏は退任後の機密文書の扱いを巡り、共謀罪、司法妨害、国防機密を意図的に保持していたなど37の重罪で起訴されました。司法省のジャック・スミス特別検察官は「国防情報を守る法律は極めて重要で、国家安全のため遵守されなければならない。」と語りました。起訴状によると、トランプ氏は、フロリダ州の自宅に不正に国防や核兵器に関する情報など大量の機密文書を保持しており、機密文書はトランプ氏の自宅のボールルームや納戸、バスルームなどに置かれていました。また、 捜査妨害を繰り返し、文書の隠蔽と処分を自身の弁護士に提案したということです。
トランプ氏は、問われている37全ての罪状について無罪を主張。出廷後、ニュージャージー州のゴルフクラブに移動し、支持者の前で演説し「きょう私たちは史上最も邪悪な権力の濫用を目撃した。」と語りました。また「 ジョー・バイデンは機密文書を保持していたが起訴されていない。私は何も不正をしていないのに起訴された。」と語り、起訴が政治的なものだと主張しました。最近行われた世論調査では、トランプ氏の起訴について約半数が賛成、また、約半数が政治的な動機に基づくと回答しました。回答者の3分の2は起訴が深刻なことだと捉えています。
バイデン大統領やペンス前副大統領なども機密文書を自宅に保持していたことが明らかになっていますが、いずれも判明した段階で速やかに文書は変換されています。トランプ氏の場合、その存在を否定し、隠ぺいしようしたなどとして罪に問われています。また、もし来年11月の大統領選まで裁判に決着がつかず、トランプ氏が当選した場合、現職大統領は起訴できないことから、この件はお蔵入りとなる可能性が高いということです。トランプ氏の選挙陣営は起訴から1日で700万ドルの寄付が集まったと発表しており、これでトランプ支持者の勢いを増しているとみられています。