連邦最高裁判所が、女性が人工妊娠中絶をする権利を認めた過去の裁判の判断を覆しました。今後、避妊や同性婚についても再検討される可能性がでてきました。
先月24日金曜日、連邦最高裁判所は、妊娠15週以降の人工妊娠中絶を原則禁止とするミシシッピ州の法律が、憲法違反にあたるかどうかが争われた裁判で、州法は合憲であるという判断を示しました。保守派のサミュエル・アリート最高裁判事は、1973年に女性が中絶する権利を認めた最高裁の判断について「大きな誤りで、判断が下されたその日から憲法と衝突していた」と多数派として意見しました。
最高裁が、中絶の権利を認めた過去の判断を覆したことで、中絶反対派の人たちは喜びの声を上げました。「待ち望んでいた結果にうれし涙がでました。ついに命の権利が認められ、誕生前の命が守られることになります。」 一方、中絶容認派の人たちは各地で抗議デモを行いました。「中絶に反対だからといって人の権利は奪えません。」世論調査では、58%の人が人工妊娠中絶について、全ての場合、または、ほとんどの場合で合法とされるべきだと答えています。
また、今回の裁判で、クラレンス・トーマス最高裁判事は「最高裁は避妊具を使う権利や同性婚についても再検討すべきだ」と意見しています。ケイト・ショー弁護士は専門家の見解として「来年ということはありませんが、実際に、避妊や同性婚について数年以内に再検討される可能性があります。」と語りました。
最高裁判事は9人のうち6人が保守派、3人がリベラル派で、保守派が圧倒的多数となっています。そうした中、先月30日木曜日リベラル派のスティーブン・ブライヤー判事が引退し、黒人女性として初の最高裁判事、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン氏が正式に就任しました。しかし、6対3のバランスは変わらず、最高裁は今後も保守的な判断を打ち出していくと見られています。