連邦最高裁判所が、人工妊娠中絶の権利を認めた過去の判断を覆したことで、中絶を認めるかどうかについては、今後、各州に委ねられることになります。すでに中絶を禁止した州もあります。
最高裁の判断を受け、全米のおよそ半数にあたる26州で、人工妊娠中絶が禁止または、厳しく規制される見通しです。先月24日金曜日の最高裁の判断後、少なくとも6州では中絶を禁止する法律がすぐに施行されました。
その一つであるアーカンソー州で 唯一、中絶手術を行っていた診療所のジャネット・キャシー医師は「車で診療所に向かっている患者がいましたが、もう中絶手術をできないと連絡しました。患者は気が動転していました。」と語りました。
中絶が認められているイリノイ州では、他の州から中絶手術についての問い合わせが殺到しているといいます。コリーン・マクニコラス医師は「中絶が禁止された州の診療所からすぐに電話があり、手術予定の患者を何人受け入れらるか聞かれました。」
一方で、中絶を禁止しているミズーリ州の共和党州議会議員は、医療従事者が他の州で中絶手術を受けられるよう患者を支援することを禁止する法律の立法を目指しているといいます。共和党 メアリー・エリザベス・コールマン州議会議員「裏で仲介するネットワークを阻止し、ミズーリ州の法に従ってもらうためです。」
最高裁の判断を受け、全米およそ半数の州が中絶の禁止や規制強化に動き、半数は他の州からの患者受け入れ拡大の準備を進め、国が2つに分断している状況です。今後も各州で人工中絶の裁判闘争は続くと見られています。