アメリカのIT企業が史上最大規模のランサムウエア攻撃を受け、7000万ドルの身代金が要求されました。
2日金曜日、アメリカのIT企業「カセヤ(Kaseya)」が提供する企業向けソフトウエアが、サイバー攻撃を受けました。コンピューターウイルスでシステムを使用不能にし、制限を解除するための身代金を要求する「ランサムウエア」による攻撃で、カセヤのサービスを利用している世界17か国、中小1000以上の企業に被害が及びました。被害を受けた企業のひとつ、スウェーデンのスーパーマーケットでは、このサイバー攻撃でレジの操作ができなくなり、800店舗近くが営業停止となりました。カセヤのCEOは「顧客の生活に直結する問題です。社員12人の企業やその客が被害にあっています。」と語りました。
このサイバー攻撃には、ロシア系のハッカー集団「REvil」が関与していると見られ、ビットコインで7000万ドルの身代金を要求したということです。6月には、食肉加工大手JBSが、このハッカー集団からランサムウエアによる攻撃を受け、1100万ドルの身代金を支払いました。「カセヤ」のCEOは「近ごろ頻繁にサイバー攻撃が起きています。仮想通貨(クリプトカレンシー)の身代金なら追跡されないからです。」と語りました。
ロシア政府は、サイバー攻撃の関与を否定しています。しかし、サイバーセキュリティ企業「コンプレックス」のCEOは「ハッカー集団がロシアの管理下で、罰せられることなく行動しているのは明らかです。」と語りました。6日火曜日、ホワイトハウスのサキ報道官は、会見でロシア政府が国内の犯罪者に対して行動をとらないのであれば、アメリカが行動すると語り、ロシア政府に一定の責任があるとする考えを示しました。今回のサイバー攻撃について、アメリカとロシアの当局者によって来週にも協議が行われる予定です。
7000万ドルの身代金は5000万ドルに引き下げられる可能性もあるということですが、これが支払われるかどうかは不明です。度重なるロシア系とみられるハッカー攻撃に、サイバー攻撃が議題となった先月の米露首脳会談の効果が試されています。