感染すると麻痺を引き起こす可能性のある急性灰白髄炎、ポリオ。ワクチンの普及でアメリカでは1979年に根絶したとされていましたが、今、ポリオの感染が再び心配されています。7月にはニューヨークで1人の感染が確認され、その後の下水調査でポリオの市中感染が発生している可能性があることが明らかになり、緊急事態宣言が発令されました。
ニューヨーク市を含む複数の地域で行われた下水調査でポリオウイルスが検出され、ニューヨーク州保健当局は市中感染の可能性もあるとしています。
これを受けてナッソー郡でもポリオの下水調査を行い、9日金曜日、郡の複数の地域でポリオウイルスが検出されたと発表しました。 ナッソー郡自治体関係者は会見で「動揺しないでください。危機的状況ではありません。郡でポリオ感染者は報告されていません。」と語りました。
下水のウイルス検査は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに始まり、いまでは各地で定期的に行われています。下水調査について ナッソー郡自治体関係者は「患者が出る前に感染の拡大傾向を特定できるため、早めに準備ができるのです。」と語りました。ポリオの口から飲むタイプのワクチンを服用した場合も下水検査で検出されますが、アメリカではこのタイプのワクチンは使用されていません。
ナッソー郡保健当局代理は「これが1回きりのことなのか、今後も検出されるのかで状況が明らかになります。」と語りました。無症状の感染者が感染を広めている可能性もあるということです。ナッソー郡保健当局代理 「感染しても74%が無症状です。ワクチンを接種したか確認する必要があります。ポリオから身を守るにはワクチンしかありません。」
ニューヨークで確認された感染者はワクチン未接種の成人男性で、発覚当初、倦怠感と麻痺の症状があったということです。ポリオによる体の麻痺は現在の医療では治療法はなく、保健当局はワクチンを接種しているかどうか確認するよう呼びかけています。