新学期を迎え各地で通学再開が進む中、変異ウイルス「デルタ株」のまん延で子供への感染増加が続いています。そうした中、治験が進められている12歳未満へのワクチン接種の可能性が見えてきました。
アメリカ小児科 学会の報告によると今月2日~9日までの1週間で確認された子供の感染者数は24万3000人以上となりました。先週の新規感染者うち子供が全体の約30%を占めています。オハイオ州では子供への感染が8月初旬から2000%増加し、小児病院の病床がひっ迫しています。
そうした中、13日月曜日、アメリカ最大の学区であるニューヨークで市では、公立学校の対面式授業が全面再開し、約100万人の生徒が登校しました。約1年半ぶりの全面再開です。ニューヨーク市では、オンライン授業の選択肢はなく、マスク着用を義務化、教職員にはワクチン接種を義務化しています。しかし、14日火曜日、州最高裁は市のワクチン義務化を停止する命令をだしました。今月22日に裁判所で聴問会が行われる予定です。保護者の1人は「感染状況は悪くなっています。うちは子供を学校に行かせていません。」と語りました。
ワクチン接種の対象となっている12歳~17歳のうち、接種完了者は40%にとどまっています。一方で、子供への感染を心配する保護者が、ワクチン接種の対象となっていない12歳未満の子供に接種を求めることもあり、FDA食品医薬品局は、大人と子供では体の機能が異なるとし、FDAの承認を待つよう警告しました。ハーバード大学医学部の小児学科教授は「子供は特別なグループで、小さい大人ではありません。子供に適切なワクチン接種を行うために長期的な安全性を示すデータが必要です。」と語りました。
14日火曜日、ファイザーは、5歳~11歳を対象にしたワクチンの治験データを10月初旬に FDAに提出する予定だと発表しました。生後6カ月~5歳までの治験データに関しても、その数週間後に提出するとしています。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、早ければ10月半ばに、FDAが子供への緊急使用許可を承認すると見ています。