いまアメリカで 最も多くの命を奪っている麻薬は 、合成オピオイド「フェンタニル」です。 そのフェンタニルの 若者による過剰摂取が急増しています。そうした中、司法省と麻薬取締局は あらたに広がりを見せている レインボーフェンタニルについて警告しました。
麻薬取締局は今年5から3カ月半で錠剤約1000万粒と粉末で980ポンド(450㎏)のフェンタニルを押収しています。これは3600万人分の致死量だということです。今年2月からこれまでに21の州で レインボーフェンタニルが押収されています。
27日火曜日、メリック・ガーランド司法長官は「レインボーフェンタニルは死亡する可能性があるほど危険です。」と警鐘を鳴らしました。麻薬取締局によるとフェンタニルは ヘロインの50倍、モルヒネの100倍の鎮痛効果をもたらし、少量でも死に至ることもあります。 鮮やかに着色されたレインボーフェンタニルは、若者や子供を中毒にさせ商売にする麻薬密売組織による戦略とみられています。国立薬物乱用研究所のウィルソン・コンプトン博士は「最近のデータでは、フェンタニルが原因で10代や若い大人の死亡者数が40%増加しています。」と語りました。
レインボーフェンタニルに限らず、フェンタニルの過剰摂取による死亡事故は全米で増え続けています。ラスベガスでは36時間で6件、 麻薬の過剰摂取による死亡事故が報告されました。そのうち少なくとも4件はフェンタニルが使用されていました。先月、通報で駆けつけた救急隊員のボディーカメラの映像です。フェンタニルの過剰摂取で倒れていた3人が隊員による処置で一命を取り留めたということです。
ロサンゼルスでは、この1カ月で少なくとも10代の子供7人のフェンタニル過剰摂取が報告されています。うち15歳の少女1人が死亡しました。こうした事態を受けてロサンゼルスでは、今後、幼稚園から高校までの全公立学校で麻薬の作用を一時的に抑制する拮抗薬ナルカンを常備するということです。ロサンゼルス全域学区教育長は「危険を周知させることも大切だが、拮抗薬があれば危険を防げます。」と語りました。
2021年の統計では、全米で麻薬の過剰摂取による死亡者数は10万人を超えています。そのうち半数以上の約7万人が、フェンタニルの過剰摂取だったということです。