コネティカット州のサンディフック小学校でおきた銃乱射事件を「やらせ」だと主張していたアレックス・ジョーンズ氏に対し、コネティカット州の陪審は、遺族らの名誉を傷つけたとして約9億6500万ドルの損害賠償を命じました。
事件で6歳の娘を失った父親のロビー・パーカーさんは裁判について「真実を証言することがこれほど難しく、恐ろしいことであってはならないのです。ジョーンズ氏はこの裁判中もウソをつき続けました。」 と語りました。
銃乱射事件は、2012年にコネティカット州ニュータウンで起きました。当時20歳の男が、サンディフック小学校に侵入し銃を乱射。まだ幼い小学1年生20人と大人6人が死亡し、男はその場で自殺しました。保守派ラジオ番組の司会者で陰謀論を唱えるアレックス・ジョーンズ氏48歳は、自分の番組でサンディフック小学校の事件は、銃規制を強化するためのやらせだという虚偽の主張を繰り返し、犠牲になった子供たちの親はメディア用に俳優が演じているものだと侮辱していました。ジョーズン氏は番組で「古典的な演技の訓練のように、笑っているところに『生放送だ』と伝えると突然泣きだす」と言っていました。
犠牲となった子供や教職員8人の遺族と事件の捜査を行ったFBI連邦捜査局の捜査官はこうした侮辱に加え、ジョーンズ氏の支持者から嫌がらせや脅迫を受け続けているとしジョーンズ氏を名誉毀損で訴えました。事件で6歳の娘を失ったパーカーさんは、路上でののしられたと裁判で証言しました。「私がやらせを行った人間と信じ込んで憎悪をぶつけてきました。」遺族の弁護士は、ジョーンズ氏が利益のために虚偽の発言を続けていると非難しました。「愛する家族を失って10年がたつ今も、彼は侮辱し続けています。」
12日水曜日、コネチカット州の陪審は、遺族らへの誹謗中傷による名誉毀損と精神的苦痛に対する損害賠償としてジョーンズ氏に9億6500万ドルの支払いを命じました。ジョーンズ氏は、他の遺族からも名誉棄損で訴えられており、損害賠償が支払えないとして破産を申請していました。しかし、遺族の弁護士によるとジョーンズ氏は資産を隠すために6200万ドルを口座から動かしていたということです。犠牲者の遺族は「真実が認められました。他人の痛みやトラウマで金儲けをしたその代償を支払うことになります。」と語りました。
ジョーンズ氏はこの裁判のためコネティカット州に移動するのにプライベートジェットを使い、宿泊にはプールとテニスコート付きの家を借りたということです。一方で破産していて支払い能力がないと主張し、自身の番組では支持者に大量の寄付を送るよう呼びかけています。