ラッパーの「イェ」として知られるカニエ・ウェストさんがSNSなどでユダヤ人に対する差別的な発言を繰り返し、スポーツ用品大手アディダスとの提携を解消されました。
ラッパーの「イェ」として知られるカニエ・ウェストさんは、SNSなどで反ユダヤ主義的な発言を繰り返し、今月10日にはツイッターとインスタグラムのアカウントが凍結されました。
25日火曜日、ドイツの大手スポーツ用品店アディダスは声明を発表し「アディダスは、反ユダヤ主義的思想を含む全てのヘイトスピーチを許すことはできない。最近の言動は容認できず危険であり、弊社の多様性や互いを尊重することを重視する価値観に反するものだ」との見解を示し、ウェストさんと共同開発したスニーカーなど製品の生産を停止し、ただちに提携を解消するとしました。年末商戦直前に人気ブランドの生産停止を強いられることになり、アディダスは最大で約2億5千万ドルの損失を被ると試算しています。
すでに9月に 提携を解消していた衣料品大手ギャップも全ての店舗からウェストさんの商品を撤去し、関連商品を販売していたウェブサイトも閉鎖しました。
アメリカでは反ユダヤ主義的思想が広がりを見せており2021年には1970年代からの統計史上、最悪となっています。ユダヤ人に対する暴行、いやがらせ、そして破壊行為は2700件におよび2020年から34%増加しています。
専門家によると反ユダヤ主義的な思想が増えている背景には、元々ユダヤ人が経済や政治をコントロールしているという陰謀説が根底にあり、経済の先行きが見えなくなったり政治に対する不満が広がるとユダヤ人のせいにされる傾向があること、また、白人至上主義を含む極端な思想を持つグループや宗教などがSNSを通して情報を広めていることがあげられています。さらに、ホロコーストの歴史について40歳以下の成人を対象に行った世論調査によると 、56%の人がアウシュビッツ強制収容所を知らないと答えており、こうした歴史の教訓が次の世代に伝わっていないことも要因となっているといことです。