世界的に感染が確認されている新型コロナウイルスの新たな変異ウイルス「オミクロン株」について、アメリカでも警戒感が高まっています。
先月24日水曜日に南アフリカから最初に報告された変異ウイルス「オミクロン」は、アメリカでは1日水曜日に1例目がカリフォルニア州で確認されました。先月22日に南アフリカから帰国した人物だということです。米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は「感染が確認されたのはワクチン接種完了者で症状は軽く、快方に向かっています。」 と語りました。
2日木曜日、ミネソタ州の男性に2例目が確認されました。男性には、最近の海外渡航歴はなく、先月後半に5万人が集まったニューヨーク市の大規模なアニメイベントに参加していたということです。男性は先月初旬に追加接種を受けており、軽い症状が出ましたが、すでに回復したということです。その後、2日木曜日にニューヨーク州でも5人に感染が確認されました。また、2日木曜日、コロラド州で南アフリカから帰国した女性への感染が確認されました。女性はワクチン接種を完了しており、症状は軽いということです。WHO世界保健機構はオミクロン株を「懸念すべき変異株」に指定しており、南アフリカでは1日で新規感染者数が53%増加しました。また、入院患者の10%がワクチンを接種していない2歳未満の子供だということですが、オミクロン株の症状は軽いという報告もでています。
29日月曜日からアメリカ政府は、過去14日以内にアフリカ南部の8か国に滞在した外国人の入国をほぼ禁止しました。また、政府はアメリカに空路で入国する全て渡航者に対し、搭乗前24時間以内に取得した陰性証明の提示を義務化する方針です。バイデン大統領は「この変異株は懸念すべきですが、パニックを起こすものではありません。」と語りました。
オミクロン株には50以上の突然変異があり、感染力の強さや症状の出やすさ、既存のワクチンが有効かどうかなどについて調査が進められています。米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は「この変異株について詳しいことは分かっていませんが、追加接種を受ければ抗体レベルが上がり重症化を防ぐと予測できます。」と語りました。
ファイザー、モデルナ、ジョンソンエンドジョンソンは、オミクロン株に有効なワクチンを開発する準備を進めているということです。モデルナ社のポール・バートン最高医療責任者は「この変異株に現在のワクチンが有効かどうか、数週間で明らかになります。」と語りました。
アメリカでは11月のおよそ1カ月で入院患者数が20%増加しています。冬で気温が下がったこと、サンクスギビングデーの連休で旅行者が多かったことから、新規感染者のさらなる増加が懸念されています。26日金曜日、ニューヨーク州のホークル知事は非常事態を宣言、不要不急の医療行為を制限し、病床や医療従事者の確保を可能にしました。また、すべての高齢者施設で追加接種が受けられるよう指示しました。
オミクロンに効くワクチンを新たに開発するには3カ月ほどかかると言われています。バイデン大統領はオミクロン株の感染拡大を受けて経済や学校を閉鎖せずに、科学的根拠のある方法で素早く対応するとして公共交通機関でのマスク着用義務化の延期や自宅でできる簡易検査の無料配布などの対策を発表しています。