パンデミック中に適用された亡命の審査や保護をせず、移民を即座に追放できる法律の適用期限が迫っていることから、アメリカ南部の国境に移民が殺到しています。
今月に入り、1日平均2200人の移民がアメリカの国境を越えてきています。寒波で気温が下がる中、移民が滞在できるシェルターは不足しています。テキサス州のエルパソは18日金曜日、非常事態宣言を発令しました。テキサス州エルパソのマリオ・ダゴスティーノ副市長は「ここ1週間は1日に2500人が来ています。さらに増えるでしょう。」と語りました。
国境に押し寄せる移民の多くはタイトル42の解除を見込んで、亡命を希望しています。タイトル42とは、公衆衛生法の1つで、政府が緊急措置として感染症がある国の人の入国を阻止できるよう定めたものです。2020年3月にトランプ前大統領がパンデミックを理由にこの法律を適用し、国境に来た移民に亡命申請の機会を与えることなく、即座に追放できるようにしました。バイデン政権になってからもこのタイトル42の適用は続いており、これまでに200万人以上の移民が国外追放されてきました。
連邦地裁の命令により、このタイトル42の適用は21日水曜日に解除される予定でした。しかし、19日月曜日、継続を希望する19の州が控訴し、最高裁は暫定的に継続する判断を示しました。テキサス州アボット知事は「裁判所が介入しないまま、タイトル42が解除されれば大混乱になります。」と語りました。バイデン政権は、タイトル42を解除する方針で、23日金曜日までに控訴が棄却された場合、27日火曜日には解除に踏み切るとみられています。