アメリカでの新型コロナウイルスの死者数は、きのうまでに約6万3000人に上っています。一定の効果のある抗ウイルス薬なども発表される中、トランプ大統領は、新型コロナウイルスのワクチンの開発を加速させる計画を明らかにしました。
エボラ出血熱のために開発された抗ウイルス薬「レムデシビル」が新型コロナウイルスの治療で一定の効果を上げているという臨床試験の結果が発表された先月29日に続き、トランプ大統領はきのう、ワクチン開発の計画「オペレーション・ワープスピード」について言及しました。トランプ大統領は政府と軍、製薬会社が連携して来年1月までにワクチンを大量生産したいと語っています。
現在、世界中で約100種類のワクチンの開発が進められていますが、政府はどのワクチンを採用して計画を進めるかについては明らかにしていません。国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は、来年1月という期限は、ワクチン開発には1年から18カ月かかるという当初の予想と大差はないとした上で、ワクチンの効果を証明する前に、効果に望みをかけて生産を始めることになるだろうとしています。
一方、新型コロナウイルス対策本部の責任者を務めるペンス副大統領はきのう、現在は人工呼吸器の製造を行っている自動車大手ゼネラルモーターズを視察しました。この日はマスクを着用していたペンス副大統領ですが、先月28日にはミネソタ州の病院、メイヨー・クリニックを訪れた際、着用が義務付けられているマスクを着用せず、批判の声が上がっていました。
ペンス大統領側は、病院内でマスクの着用が求められていることを知ったのは、病院を出たあとだったと釈明しています。
新型コロナウイルスがどこで発生したかについては、これまでも様々な意見が飛び交っていますが、きのう、グレネル国家情報長官代行が「ウイルスは人工的に作られたものでも、遺伝子組み替えによって作られたものでもない。しかし中国、武漢にある研究所で発生した何らかの事故が感染拡大の発端だったのかを引き続き調べる」としています。
経済活動再開の動きが広まるアメリカでは、行動制限の緩和を始める州は来週末までに32州に上りますが、今も18の州で感染者が増え続けています。感染拡大のピークが過ぎたと言われるニューヨーク州では、いまだに1日に306人が感染によって死亡していて、感染のピークは2週間先とみられているイリノイ州では、1日の救急車の出動回数が150回に上る救急機関もあるということです。