アメリカの大多数の州が経済活動の一部再開に踏み切る中、人々は感染の不安と職場復帰の狭間で難しい決断を迫られています。
新型コロナウイルスの全米の感染者は130万人以上にのぼり、約8万人が死亡しています。そんな中、経済活動の再開を急ぐ州が多く、すでに45の州が行動制限を一部緩和しています。しかし、そのうち15州では今でも感染者数が増え続けています。州の経済活動再開を待てないというビジネスオーナーもいて、カリフォルニア州でレストランを経営する男性は、州の措置に抵抗して客の数を40%に絞り、店の営業を再開しました。
ABCニュースの調査では、アメリカに住む64%の人が、現状での経済活動の再開は危険だと思うと答えていますが、長引く行動制限などに反発する人の抗議デモも相次いでいます。各州の知事たちは、安全を脅かすことなく、いかに経済活動の再開を進めるかに頭を悩ませています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月だけでも2050万人以上が職を失っていて、4月の失業率は14.7%と、前の月の3倍以上、1930年代の大恐慌以降最悪の水準になりました。ムニューシン財務長官は、求職活動を諦めた人などを含めると実際の失業率は25%にのぼる可能性があると認めています。
一方、NEC・米国家経済会議のクドロー委員長は、新型コロナウイルスによって失われた2000万件以上の職は、一時的なものだとして現在の数値がいつまでも続くものではないとの見方を示しています。しかし、経済の専門家の間では、人々が職場に復帰できない状態が今後数週間、数ヵ月と続くと、解雇が一時的ではなくなるケースが増えることが懸念されています。また、人々の精神衛生への影響も心配されていて、保健当局は、今後、依存症やうつ病、自殺が増える可能性があるとして注意を促しています。