昨日、トランプ大統領が、新型コロナウイルスの治療薬としては承認されていない抗マラリア薬を予防薬として服用していると明かし、波紋が広がっています。
全米の新型コロナウイルスの死者数は9万人を超え、感染者は150万人以上にのぼっています。そんな中、「ワープスピード作戦」と命名されワクチンをこれまでにない速さで生産する戦略をとっているトランプ大統領が昨日、新型コロナウイルスの感染を予防するため、自身は抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンを服用していることを明らかにしました。
ヒドロキシクロロキンは、トランプ大統領が、以前から新型コロナウイルス感染患者の治療に効果的だと推奨していた抗マラリア薬ですが、初期の研究では、通常の治療よりも死亡率が高いという結果も出ていて、現段階では新型コロナウイルスの感染患者の治療に使うことは認められていません。FDA・食品医薬品局は先月、この薬を病院や臨床試験以外で使用することについて警告し、副作用で心疾患を引き起こす可能性があるとしています。
今月初めにはホワイトハウスの世話役スタッフなどに感染が確認され、現在は2、3日に一度検査を受けているというトランプ大統領ですが、薬の服用は、検査の結果や、症状が出たことによるものではなく、予防として服用しているだけだと説明しています。先週木曜日には、ワクチンの生産を指揮する立場にあった政府機関の元トップが、ヒドロキシクロロキンの使用を促進するようにとの政府の指示に反対したことなどによってその役職を解任されたと議会の公聴会で証言したばかりでした。
トランプ大統領は2ヵ月以上前から、ヒドロキシクロロキンの使用を推奨し続けていますが、ここにきて自身が服用を始めた理由については明らかにしていません。ABCニュースの記者は、服用し始めたタイミングが、ホワイトハウスのスタッフや関係者に感染者が出始めた時期と重なるとして、関連があるのではないかと伝えています。