現在も新型コロナウイルスによる死者数が増え続けているアメリカですが、感染防止策をもっと早く徹底していれば、死者を大幅に減らすことができたという可能性を示す調査結果が発表されました。
新型コロナウイルスによる全米の死者数は昨日9万4000人を超えました。そんな中、コロンビア大学が、アメリカでの感染拡大防止策が遅すぎた可能性を示す調査結果を発表しました。それによりますと、もし、ソーシャルディスタンシングなどの対策が、実際よりも1週間から2週間早く実施されていれば、死者を3万6000人減少させることができた可能性があるとしています。また、連邦や州などあらゆるレベルの政府がより多くの対策を行っていれば、感染者数を61%を減らすことができた可能性についても指摘しています。これについてトランプ大統領は、コロンビア大学は、自分に否定的なリベラル派の機関で、この調査は政治的な攻撃だと反論しています。
昨日、トランプ大統領とCDC・米疾病対策センターのレッドフィールド所長が感染拡大の第2波の対応について意見を語りました。第2波が必ず来ると語るレッドフィールド所長は、その時に再び経済の封鎖措置をとる可能性は否定できないとして「今、この国が可能な限りの準備をできるよう時間を費やしている」と述べています。しかしトランプ大統領は、第2波が来ても、再び封鎖措置を取ることはないとして方針の食い違いを見せています。
一方、ウイルスの感染経路について、これまで、ウイルスが付着した物に触れた手で口や鼻を触ることについて十分に注意するよう呼びかけられていました。しかしCDCはウェブサイトで「人から人への感染はしやすいが、 物の表面は主な感染経路ではない」として以前考えられていたほど物を触ったことでは簡単に感染しないと情報を更新しています。
現在はアメリカの50州全てで経済活動の一部が再開されていますが、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、行動制限の緩和を急ぐことについて警鐘を鳴らしています。 経済活動の再開に伴って感染が再び拡大している現状も明らかになってきていて、アラバマ州では24時間で新たに676人が感染したことがわかっています。他にも6州で、感染者の数は増加しているということです。