新型コロナウイルス感染症の患者が重症化すると、呼吸困難や腎不全を引き起こす場合があることはよく知られていますが、あらたに脳への影響が懸念されています。
体調不良や病気が疲労、イライラの原因になることはよくありますが、中にはせん妄を発症する人がいます。せん妄とは、突然注意力が低下したり、脳が混乱する一種の意識障害で、高齢者に多いものの年齢にかかわらず起こり得るといいます。
アメリカの医学誌で発表された研究によると、新型コロナウイルス感染症で入院している患者の最大30%に、せん妄の症状が見られることがわかりました。せん妄はほとんどの場合一時的なものですが、中にはうつ病や、PTSDなどの精神疾患につながるケースもあると言います。
せん妄を発症する患者は合併症などで入院が長引く場合が多いということです。せん妄についてはわかっていない部分も多く、感染による炎症が直接脳に影響している可能性や、入院による慣れない環境が引き金になっている可能性が指摘されています。
症状を早期に発見すれば長期的な影響は避けられるとして、医師たちは入院中の感染患者にせん妄の症状がないか、注意を払っているということです。