新型コロナウイルスによる全米の死者数は6万8000人を超えました。そんな中、ニューヨークタイムズ紙が、6月までに感染者数や死者数がさらに増加する可能性を示した政府の内部資料を入手したと報じました。
多くの州が経済活動の一部再開に踏み切り、屋内退避令が続く州でも先週末にはビーチや公園に多くの人が集まるなど、感染抑制への人々の意識は弱まりつつあります。そんな中、ニューヨークタイムズ紙が、ソーシャル・ディスタンシングが守られなくなった場合、新型コロナウイルスの感染状況がどのようになるかを分析した政府の内部資料について報じました。
FEMA・連邦緊急事態管理局がまとめたこの資料によると、6月1日までに、感染による死亡者数が今の2倍近くにあたる3000人となり、現在は1日に約2万5000人の新規感染者の数は20万人に跳ね上がるだろうと試算しています。
これについてホワイトハウスは、この資料は政府のものではなく新型コロナウイルス対策チームに提出されたものでもなく、また、政府の関係機関の調査を受けたものでもないとしています。トランプ大統領は約2週間前、新型コロナウイルスによる全米の死者数は、5、6万人に留まるだろうとしていましたが、一転して現在は、死者は10万人に上るだろうと予測を改めています。
現在、全米の38州が封鎖措置を緩和して一部の経済活動を再開させていて、全米で最も早い3月19日に屋内退避令を発令したカリフォルニア州のニューサム知事も、今週末までには一部の小売店などの営業再開を許可すると発表しています。しかし、中には連邦政府が提示した経済再開のためのガイドラインを満たしていない州もあり、各州が早急に動き過ぎているのではないかと懸念の声も上がっています。
一方、CDC・米疾病対策センターの副所長は、政府の対応の遅れがここまで感染を広げることになったとして、初期段階で検査が不十分だったこととヨーロッパからの渡航制限の遅れに言及しました。アメリカがヨーロッパ諸国に対して渡航制限を行ったのは3月11日でしたが、2月にはヨーロッパから200万人がアメリカに入国していたということです。