新型コロナウイルスの感染拡大の影響で食肉工場の閉鎖が相次ぎ、食肉不足が深刻化するアメリカでは、ファストフードチェーンでも牛肉を使ったメニューの取り扱いを停止するなどの対応に追われています。
ファストフードチェーン「ウェンディーズ」のミシガン州にある店舗では現在、鶏肉を使った商品のみを取り扱い、ドライブスルーで営業を続けています。 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で牛肉の供給が減少したことで、複数のウェンディーズの店舗では、牛肉を使用したハンバーガーなどの看板メニューの提供を停止せざるを得ない状況になっています。これについてウェンディーズは「影響を最小限に抑えられるよう努力している」と声明を出しています。また、「コストコ」をはじめとした小売大手各社も、この食肉不足を受けて、1つの世帯が購入できる牛肉の数を制限するなどの対応をとっています。
現在、アメリカの食肉の需要は推定で40%増加していると言われています。しかし、全米の100以上の食肉工場で数千人の従業員が新型コロナウイルスに感染し、閉鎖が相次いだことで供給は25%以上の減少となっています。これにより食肉の卸値は60%上昇し、特に牛肉はここ数十年で最も高額になっているということです。
一方、全従業員の約4分の1に当たる300人が新型コロナウイルスに感染したことから操業を停止していたウィスコンシン州の食肉工場では、昨日から操業を再開しました。先週、トランプ大統領が食肉工場の操業継続を命じる大統領令を出したことによる再開ですが、地元の労働組合は、この大統領令は従業員の安全を全く考慮しておらず、働いている人に死を宣告しているようなものだと強く非難しています。