先週、ミネソタ州で警察官に首を押さえられた黒人男性が死亡した事件で、警察に抗議するデモが全米各地で行われ、一部が暴徒化して警官隊と激しい衝突を繰り返しています。
これは先月25日、ミネソタ州のミネアポリス近郊で、警察官が、偽の20ドル札を使おうとした疑いでジョージ・フロイドさんを取り押さえた際、1人の警察官がフロイドさんの首を9分間近く膝で押さえ続け、その後フロイドさんが死亡したものです。この時現場にいた4人の警察官は解雇され、首を押さえ続けていたデレク・ショーバン被告は第三級殺人罪などで逮捕、起訴されました。今のところ他の3人は罪に問われていません。
事件後、フロイドさんの首に膝を押し付ける警察官の映像がメディアに広まり、全米各地で警察に抗議する大規模なデモが発生しました。デモの多くは平和的に行われているということですが、一部が暴徒化し、略奪行為や、建物や車に火をつけるなどの破壊行為も見られ、警官隊が催涙ガスやゴム弾で鎮圧をはかる事態になっています。当局は、一部の過激派が混乱を煽るために抗議デモを利用していると見ています。
今も屋内退避令が解除されていないニューヨーク市でもこの週末は大規模な抗議デモが行われ、一晩で、暴徒化した少なくとも345人が逮捕されました。また、33人の警察官が負傷し、27台の警察車両が火をつけられるなどして破壊されています。インディアナポリスでは発砲によって2人が死亡しました。ロサンゼルス郡では非常事態宣言が出され、ビバリーヒルズでは、暴動に備えてブランド店がウィンドウに板を貼るなどの対応に追われました。他にも多くの自治体が非常事態宣言や、夜間の外出禁止令の発令に踏み切っています。
この抗議デモによる混乱で、先週の木曜日から昨日の夜にかけて22の都市で約1700人の逮捕者が出ていて、少なくとも17の州とワシントンDCで州兵が動員されました。