きのう、テキサス州・ヒューストンで警察官に暴行を受けて死亡したジョージ・フロイドさんの葬儀が行われました。また、フロイドさんの事件をきっかけに各地で警察組織の改革が検討されています。
ミネソタ州で警察に拘束され死亡したジョージ・フロイドさんの葬儀が、フロイドさんの故郷であるテキサス州ヒューストンの教会で行われました。親族や親しい友人の他に、ヒューストン市長や公民権運動の活動家も参列しました。フロイドさんの事件が世界中で注目される中、警察官による行き過ぎた取り締まりが次々と表面化しています。テキサス州オースティンは、去年3月の警察官のボディカメラの映像を公開。車のヘッドライトの不備で止められ拘束された黒人男性は、「息ができない」と訴えていましたが、その後、病院で死亡が確認されました。逮捕に抵抗したとして警察の正当防衛とされていましたが、改めて捜査が行われることになりました。また、オクラホマ市警察は、去年5月の映像を公開しました。黒人男性がフードトラックで偽の20ドル札を使ったとして複数の警察官に拘束され、死亡しました。この男性も何度も息ができないと訴えていましたが、死因は不明と判定され、警察官は全員不問に付されています。フロイドさんの事件をきっかけにデモ隊からは警察組織の改革や解体、そして警察への予算削減を求める声があがっています。
ジョージタウン大学法学部クリスティ・ロペス教授によると、デモ隊が求める「デファンド・ザ・ポリス」とは、公共安全への予算をなくすことではなく、警察機関の予算を回収し、再分配することです。ロサンゼルスでは、警察の予算を1億5000万ドル削減すると発表しました。シアトルは50%の削減を検討。ニューヨーク市では、警察の予算の一部を青少年の活動に充て、首を圧迫して拘束するチョークホールドを禁止する法案を進めています。警察組織を解体して治安が向上した成功例もあります。ニュージャージー州のカムデンは、全米で最も危険な都市のひとつでしたが、2013年に警察組織を解体し、イチから新たに建て直しました。その後は地域との関係が改善、犯罪が劇的に減少しました。ダナ・レッド前カムデン市長は「地域と一丸となることが大切です。公共安全と新しい警察のあり方について地域と会話を続けています。」と語りました。
ニューヨークタイムズ紙が行った世論調査では90%近くの人が警察官は暴力を使わず現場の緊張を鎮める方法のトレーニングを受ける必要があると答えていて、警察組織がなんらかの形で変わらなければいけないと考えています。しかしそのために警察組織の資金削減や組織の解体と聞くと極端に聞こえますが、現在の組織では警察は変わらないというのが活動家の見方です。ある調査では黒人層の63%が自分か家族が警察官に殺されるかもしれないことを恐れているということです。子供達にも幼いころから警察官に止められた時の対応として、両手をあげて、口答えをしないなどと教え込んでいるといいます。いまは欠如している互いの「信頼」ですが、それを取り戻すことは、市民だけではなく警察官の安全にもつながるのではないでしょうか。