経済活動の制限が緩和され、アメリカ各州で再び新型コロナウイルスの感染者数が増加傾向にある中35歳以下の若い世代の感染が増えています。一方で、既存のステロイド薬が重症感染者の死亡率を低下させた研究が発表されました。
フロリダ州では、きのう、1日の新規感染者が、およそ2700人確認され過去最多となりました。ジャクソンビルのビーチパブでは、マスクをせずに訪れた女性に感染が確認されました。一緒にいた15人の友人も感染したということです。感染した女性は「数カ月、行動制限を守っていましたが、その後初めて出かけたときに感染しました。」と語りました。この店では7人の従業員の感染も確認されています。テネシー州ナッシュビルのバーでは、週末に人混みが見られました。ナッシュビルでビジネスを営む経営者は「無責任な行動で次の封鎖措置がとられるのを恐れています。再開を待つよりも損害が大きいです。」と感染拡大を警戒しています。アメリカでは依然、20州とプエルトリコで感染者が増加、また、14の州では感染による入院者数が増えています。感染者が増えているテキサス州のグレッグ・アボット知事は、会見で「今できる最善策は、マスクを着用することです」と若い世代に警戒を呼びかけました。また感染が増えているアリゾナ州で治療に当たっている医師は「重症の人も含め病院に来る患者があきらかに増えています。病床が確保できない状況になりつつあります。アリゾナ州南部はもうわずかなICUベッドしか空いていません」と語り、新型コロナウイルス以外の患者の病床不足を危惧しました。国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は、感染が始まった当初、なぜマスクの着用を推奨しなかったかを「専門家の間で、医療従事者を守る医療用マスクが不足することを懸念していました。」と説明しました。
一方、イギリスのオックスフォード大学の研究チームは低価格で入手しやすいステロイド薬が新型コロナウイルスの重症患者の死亡率を低下させる効果があると発表しました。これは「デキサメタゾン」という薬で、人工呼吸器を装着している患者の死亡率が3分の1減少、酸素吸入を必要とする患者の死亡率は5分の1減少したということです。炎症を軽減するステロイド薬で、ウイルスによる肺への影響を緩和すると見られています。オックスフォード大学で研究チームを率いるマーティン・ランドレイ教授は「はじめの1歩ですが、大きな一歩です。すぐに始められる治療を提示できました。」と語りました。また、デキサメタゾンを摂取した患者は摂取後に体調に大きな変化を感じたと話しています。
イギリスでは早くも新型コロナウイルスの治療にデキサメタゾン使用することが認可されました。科学者の中には研究を急ぎすぎているという意見もありますがこれまで重症患者に効果的な治療手段はほぼ皆無だった中現場の医療従事者は期待を高めているということです。