警官に拘束され死亡したジョージ・フロイドさんの事件に抗議するデモが続いています。そんな中、きのう、ミネソタ州の司法当局は事件当時、現場にいた警察官4人全員を起訴しました。
ミネソタ州ミネアポリスで先月25日に黒人男性のジョージ・フロイドさんが、白人警察官に首を押さえつけられて死亡した事件で、州の司法当局はきのう、すでに起訴されていた元警察官のデレク・ショーバン被告を第3級殺人罪から、より重い第2級殺人罪に切り替えて起訴したと発表しました。また、すでに免職処分になっている現場にいた他の元警察官3人も第2級殺人ほう助などの罪で起訴されました。デモ参加者はこの知らせに「まだ十分ではありませんが、とても喜ばしいです。数年前なら警察官が逮捕されることはありませんでした。」と話しました。フロイドさんの遺族が独自に依頼した検死結果では、拘束され窒息させられたことによる殺人だとしています。この映像では、ショーバン被告とは別の2人の元警察官もフロイドさんを押さえつけていて、殺人に関与していた疑いがあると遺族の代理人は主張していました。
事件から9日目となったきのうも全米各地で大規模な抗議デモが続きましたが、 行進やフロイドさんが亡くなった時の姿勢のように地面にうつ伏せになるなどして平和的に行われました。その一方で、一部の暴徒化を受け、今週初めにトランプ大統領は、治安維持のために連邦軍の派遣も辞さない構えであると発言しています。法的には大統領の権限により軍の動員が可能ではあるものの、マーク・エスパー国防長官はきのうの記者会見で「治安維持のために軍を使うのは最終手段であり、最も緊急で差し迫った状況下であるべきです。今はその状況にはなく私は軍動員を支持しません。」と トランプ大統領とは異なる意見を述べました。これに対し、ホワイトハウスのケイリー・マクナニー報道官は「軍動員の権限があるのは大統領ただ一人で、市民を守るために必要があれば行使します」とトランプ大統領の立場を強調しました。
ワシントンDCでは、およそ1600人のアメリカ軍が配備されています。こうした連邦軍を国内の治安維持に動員する動きに、元軍高官からは批判の声が上がっています。アメリカ軍を統率する軍人のトップを務めた元統合参謀本部議長マーティン・デンプシー氏は「アメリカは戦場ではない、市民は敵ではない」とコメントを発表しました。また、ジェームズ・マティス前国防長官も政治的な意図はないとしたうえで「トランプ大統領は国を結束させようとしない、私の知る初めての大統領だ」と非難しました。
抗議デモが続く中、アメリカではいまも新型コロナウイルス感染者が増え続けています。オクラホマ州のタルサではデモに参加した大学生が新型コロナウイルスに感染したことが明らかになりました。保健当局はこのデモによる感染拡大を心配していて人の密度に加えて催涙ガスなどは感染をさらに広がりやすくするということです。各州の知事たちはデモに参加した人たちにはPCR検査を受けるよう勧めています。