警察官に暴行を受けて死亡したジョージ・フロイドさんの遺体がきのう、出身地のテキサス州に到着し、多くの人が追悼に訪れました。この一件によって警察への不信感は増し、各地で抜本的な改革を求める声が高まっています。
ジョージ・フロイドさんの遺体が安置されたテキサス州ヒューストンの教会にはきのう、数千人が追悼に訪れ長い列ができました。教会にはテキサス州知事やヒューストン市長も訪れた他、ジョー・バイデン前副大統領もフロイドさんの遺族と面会しました。今日、近親者のみで葬儀が行われる予定です。
フロイドさんの事件以降、警察官による行き過ぎた取り締まりが次々と表面化していて、新たにニューメキシコ州で2月にヒスパニック系の男性が死亡した事件について、拘束した時に首を圧迫したことが死因だとして当時の警察官が過失致死罪で起訴されました。各地で、警察組織の解体や、予算を削減して他の社会活動に回すよう求める声が高まっています。
フロイドさんの事件が起きたミネソタ州ミネアポリスでは6日、ジェイコブ・フライ市長がデモ隊の要求に対し、市警察を完全に廃止することはないという方針を示したところ、デモ隊から一斉に非難される一幕がありましたが、その後ミネアポリス市議会が、市警察を解体する意向を発表しています。そうした中、フライ市長はきのう、有色人種が経済的に取り残されないための新たな連合を組織すると発表し、このことが、街が前に進むための助けになればと語っています。その他、ニューヨーク市は警察の運営費の一部を若者の活動に充てる計画を発表しているほか、ロサンゼルスでは、警察の予算を1億5000万ドル削減すると発表しました。
一方、トランプ大統領はこの事態を受けて警察組織の改革については考えているものの、「警察によって我々は平和に暮らせる」として、予算の削減や解体は考えていないと語っています。また、バイデン氏も、警察の予算削減には反対の立場を取っています。
フロイドさんの死亡事件で第2級殺人罪などで起訴されているデレク・ショーバン被告はきのう、勾留施設からビデオ形式で初めて出廷し、125万ドルの保釈金が設定されました。事件当時その場にいた他の元警察官3人もショーバン被告をほう助した罪で起訴されていて、ショーバン被告には最大で75年、他の3人は最大50年の禁錮刑が科せられる可能性があるということです。