CDC疾病対策センターが、新型コロナウイルスの検査に関するガイドラインを急変し、物議を醸しています。
アメリカでは、新型コロナウイルスの新規感染者数は減少していますが、新学期が始まり、大学での感染者数が増加しています。アリゾナ州立大学では、161人の感染が確認されました。インディアナ州のノートルダム大学では500人近く、アラバマ大学では530人以上、ミズーリ大学ではおよそ160人の感染が確認されました。南カリフォルニア大学では、 ほぼ全ての講義をオンラインで行っているにもかかわらず、キャンパスの外で生活する学生43人に感染が確認されました。学生は「パーティーが行われています、責任ある行動をとってほしいです。」と語りました。
こうした中、今週、CDCは感染検査に関する新たなガイドラインを発表しました。この新ガイドラインでは、感染者とおよそ2m以内、15分以上の濃厚接触をした場合でも無症状なら検査を受ける必要はないとしています。例外として、感染の影響を受けやすい高齢者や持病のある人、医療従事者、保健当局の職員は、検査を受けるよう推奨しています。このガイドラインの変更は今月20日、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策チームによって決断されたということですがこのとき、国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は、声帯ポリープの除去手術のため、不在だったということです。
また、CDCのレッドフィールド所長は、先月、感染検査について「無症状でも感染の可能性があれば 感染検査を受けるべきです 。」と全く異なる見解を述べていました。
アメリカメディアは、検査に関するガイドラインの変更は、パンデミックが選挙戦に影響すると考えるトランプ政権上層部からきた指示だったと報じています。6月行われた支持者集会でトランプ大統領は「検査数を増やせば、感染者がその分確認される。だから担当者に検査のペースを遅らせるように言った。」と語っていました。
一変した検査の新ガイドラインに、各所から非難の声が上がっています。NY州クオモ知事は「CDCを政治的に利用しています。恐ろしいことで警戒が必要です。」と語りました。CA州ニューサム知事は「カリフォルニア州は新ガイドラインには従いません。現場の専門家は、これと異なる意見です。彼らの意見を優先します。」と会見を行いました。公衆衛生の専門家は、ツイッターに「この変更で死者がでる」と投稿しています。
一方、対策チームの一員である、厚生省のジロワー次官補は、この変更は科学に基づくものだと主張し「トランプ大統領、副大統領や長官からの指示はなかった」と語りました。
CDCのウェブサイトには、新型コロナウイルス感染者のおよそ40%が無症状で、感染のおよそ50%が症状が出る前の感染者からうつっているという推計が掲載されており、無症状でも感染を広げる危険性について警告しています。パンデミックについての相反する情報に、CDCが市民の信頼を失う可能性があると懸念する声もあがっています。