首都ワシントンで抗議集会に参加していたアメリカ先住民の男性を、白人の少年が挑発しているようにも見える動画がネットに出回り、その解釈をめぐって議論になっています。
問題になっている映像は、太鼓をたたきながら声を上げる先住民の男性の前に、トランプ大統領のトレードマークの赤い帽子をかぶった白人の少年が、同じ帽子をかぶった少年たちに囲まれ、笑みを浮かべて立っているというものです。この日、首都ワシントンでは、複数の集会が同時に行われていて、先住民の男性は先住民の権利保護を求める抗議集会に、少年たちは人工妊娠中絶の禁止を求める集会に、それぞれ参加していました。問題の映像は、少年たちが集会の後、リンカーン・メモリアル記念堂の前に集まった際に起きた出来事を収めたもので、この動画がネットに出回ると、少年の様子について「先住民を見下している」「挑発的だ」など、批判的な書き込みが相次ぎました。
少年たちは、課外授業の一環で集会に参加した、ケンタッキー州のカトリック系の高校の生徒で、この騒動を受けて学校側は「生徒たちの行動について謝罪する」と声明を出しました。しかし一方で、ケンタッキー州選出のマシー下院議員は、動画は現場のごく一部しか捉えていないと指摘。「自分の知っている生徒たちはみな素晴らしい人格を兼ね備えた子供達だ。政治を学ぶために参加したのにSNSの格好の餌食になってしまった」と訴えました。
騒ぎが大きくなるにつれ、現場の様子を別の角度から撮影した動画が次々にネット上に投稿されました。その中には、この日集会を行っていた別のグループが、少年たちに向けて汚い言葉を叫ぶなど、少年に危険が及びかねなかったと見られる一幕も見られ、現場は当時、極めて混乱していたことが伺えます。今回批判の的となった少年はのちに声明を出し、「自分は挑発的な行動を一切していない」と先住民の男性を侮辱する意図はなかったとした上で「静かに場を見守ることで殺伐とした雰囲気が和むと思った」と説明しています。