2021年1月6日に起きたアメリカ議会襲撃事件で起訴されたトランプ前大統領について連邦最高裁が大統領在任中の行動については公務として認められ免責に値するとの判断を示しました。
これは2020年の 大統領選挙で敗北した当時のトランプ大統領が選挙結果を覆そうとし支持者が 議会を襲撃した事件について、トランプ氏は刑事責任を問われ起訴されていましたがこれが免責特権の範囲内であるとの弁護側の主張に最高裁の判断が仰がれていたものです。これについて連邦最高裁は1日、月曜日大統領が在任中に行った行動について個人的なものは除外されるとしながらもその多くが公務であり、免責特権に値するとの判断を下しました。また、トランプ氏が起訴された個々の行動について公務であるかどうかの判断は下級審に差し戻すとしました。この結果、今年11月に行われる大統領選前に裁判が進むことは不可能となりました。
ペンシルベニア大学法学部・ケート・ショー教授
「これはトランプ氏にとって大きな勝利です。
刑事事件をめぐる大統領経験者の免責特権について初めて明確にしています」
9人の最高裁判事のうち、保守派の6人がこの判断に賛同しました。
保守派のジョン・ロバーツ最高裁長官・判事は
「大統領は 想定して免責特権を持ち公務であるか否かについて裁判所が
大統領の真意を問うことはできない」としています。
これに対し反対意見として、リベラル派のソニヤ・ソトマヨール判事は
「この判断の結果、大統領は法の上に立つ者になる」と痛烈に批判しました。
これを受けてトランプ氏の弁護団は、不倫口止め料を不正に処理した罪で有罪評決を受けた裁判についてて破棄するべきだとの申し立てを行い今月11日に迫っていた量刑の言い渡しが9月まで延期されました。
下級裁判所の裁判官から 「大統領がアメリカ軍に選挙の相手候補の殺害を命じても罪に問われないのか?」という疑問が投げかけられていましたがこれはその場合も「公務」になり得るという判断になります。同時に選挙後の報復などで現大統領が前大統領を 起訴する事態を防ぐことにもなると専門家は見ています。