猛暑の続く夏、特にアメリカ東海岸で蚊が媒介するウイルスへの感染が広がっており、当局が注意を呼びかける中、複数の感染による死亡が報告されています。
マサチューセッツ州では蔓延する蚊が媒介するウイルス対策として夜、殺虫剤の散布を行なっています。マサチューセッツ州ではボストンを含む8つの地域で西ナイルウィルスによる感染が危険なレベルにまで拡大しています。また、ボストンの南に位置するプリマスを含む10の地区では同じく蚊が媒介する東部ウマ脳炎ウイルスの感染も確認され危険な状況だということです。
ニューハンプシャー州では中枢神経の異常で入院した41歳の男性が19日(月曜日)東部ウマ脳炎ウイルスで死亡したことが確認されました。アメリカでこのウイルスで死者が出たのは10年ぶりで今年初めて。男性は健康で基礎疾患もなかったということです。
東部ウマ脳炎ウイルスは感染してもほとんどの人は無症状ですが、そのうち2割が発熱、頭痛、体の痛みなどの症状が出て脳内の炎症を起こした患者の3割が死亡し、神経系の後遺症が長期にわたり残る場合もあるということです。
プリマスでは9月の末まで蚊が活発に活動する夕方から明け方までの時間帯は公園や運動場を閉鎖する対策がとられています。専門家は気温の上昇と降水量の増加が蚊の繁殖を促進しウイルスの感染を広げているとしています。
ABCニュース医療専門コメンテーターアロック・パテル医師
「夏がより長く、暑く、湿度が高くなるにつれ重症者が増えるでしょう」
ニューヨーク市では西ナイルウイルス感染者が4人報告され地上と上空から殺虫剤の散布が行われました。CDC疾病対策センターによると今年に入って西ナイルウイルスへの感染者は全米30州以上で報告されています。
ABCニュース医療専門コメンテーターアロック・パテル医師
「プールや鳥の水飲み場など水たまりを除去しましょう 蚊の増殖を防ぐだけではなく西ナイルウィルスの拡大を防ぎます」
当局は夕方以降の屋外活動を避け外出の際はEPA環境保護庁が認可する虫除けスプレーを使用し長袖・長ずぼんを着て身を守るよう呼びかけています。他にもウィスコンシン州で2人、西ナイルウイルスによる死亡が報告されています。西ナイルウィルスも東部ウマ脳炎ウイルスも蚊に刺されることで感染するもので人から人への感染例はないということです。