保守活動家のチャーリー・カーク氏が10日、ユタ州の大学で銃撃され死亡した事件で容疑者がオンラインで裁判所に出廷しました。検察は死刑を求刑する方針を明らかにしています。政治的暴力が相次ぐアメリカでホワイトハウスでも影響力が大きかった有力者の銃撃は大きな衝撃でその影響はさらにひろがっています。
10日(水曜日)ユタ州の大学でイベントを開いていた保守活動家のチャーリー・カーク氏が銃撃され殺害された事件で、16日(火曜日)殺人容疑などで訴追されたタイラー・ロビンソン容疑者(22歳)が刑務所からオンラインで、初めて裁判所に出廷しました。罪状が読み上げられる中、ロビンソン容疑者は時折うなづきながら落ち着いた様子で聞いていました。
検察は会見で、現場近くに残されていたライフル銃などに付着していたDNAがロビンソン容疑者のもの一致したこと。そして一緒に暮らしていたトランスジェンダーのパートナーに対し犯行を打ち明け、動機について語ったテキストメッセージを読み上げ証拠の一部として発表しました。
ジェフリー・グレイユタ郡検察官
「同居人『なぜ?』
ロビンソン『なぜやったかって?』
同居人『そう』
ロビンソン『やつの憎悪はもう十分だ
対話で解決できない憎悪もある』」
Jeffrey Gray, Utah County Attorney:
Roommate: 'Why?'
Robinson: 'Why did I do it?'
Roommate: 'Yeah.'
Robinson: 'I had enough of his hatred. Some hate can't be negotiated out.
今回の捜査ではFBI連邦捜査局が誤った犯人確保を2度にわたり発表し容疑者逮捕に手間取っていました。FBIは犯人と見られる現場の映像などを公開し一般からの情報提供を呼びかけました。
ジェフリー・グレイユタ郡検察官
「ロビンソン容疑者の母親は
ニュースで容疑者の写真を見て息子に似ていると思った
夫に伝えると夫も同じように思ったと供述しています」
"Robinson's mother saw the photo of the shooter in the news and though the shooter looked like her son. Robinson's mother expressed concern to her husband that the suspect shooter looked like Robinson. Robinson's father agreed."
このあとロビンソン容疑者は両親に説得され事件からおよそ33時間後、11日(木曜日)に父親とともに自首しました。
分断するアメリカでは今年6月には民主党のミネソタ州下院議長夫妻が自宅で射殺されるなど政治的暴力が相次ぐ中トランプ大統領はこれは左派の一方的な問題だと語りました。
ドナルド・トランプ大統領
「これは左翼の問題だ
右翼だという人もいるが右翼は関係ない
左翼の煽動者、国を悪く言うクズだ
アメリカ国旗を燃やすなどするのは左翼だ
右翼ではない」
"Well, the problem is on the left. If you look at the problem, the problems is on left. It's not on the right, like some people like to say on the right. The problem we have is on the left. And when you look at the agitators, you look at the scum that speaks so badly of our country, the American flag burnings all over the place, that's the left. That's not the right.
そして左派の団体などの捜査を行なっていることをあきらかにしました。トランプ政権が左派に対する批判を強める中バンス副大統領が、カーク氏の支持者の間で人気だったラジオ番組、 チャーリー・カーク・ショーに 司会の代役として登場しスティーブン・ミラー大統領次席補佐官をゲストとして招きました。
JDバンス副大統領
「チャーリー・カーク・ショーにようこそ!
副大統領のJDバンスです
今日はスティーブン・ミラー大統領次席補佐官をお招きしています」
"Welcome back to the Charlie Kirk Show. This is Vice President J.D. Vance. Joining me now is Stephen Miller, White House deputy chief of staff.
スティーブン・ミラー大統領次席補佐官
「神に誓って、政府のあらゆる力を駆使して
左派組織のネットワークを特定し 解体します
国民のためにアメリカを再び安全にします
チャーリーの名の下にやり遂げます 」
With God as my witness, we are going to use every resource we have at the Department of Justice, Homeland Security, and throughout this government to identify, disrupt, dismantle, and destroy these networks and make America safe again for the American people. It will happen, and we will do it in Charlie's name."
カーク氏は若者と討論する形をとり各地で保守的な考えを広めSNSでそれを投稿することでインフルエンサーとして人気をはくしていましたが、同時に挑発的な発言で敵視されることも少なくありませんでした。そうした意見がSNSでも投稿されバンス副大統領はこのラジオ番組で、カーク氏の暗殺を肯定する人がいれば指摘し、その人物が所属する会社に通報するよう呼びかけました。
AP通信
ジョシュ・ボーク記者
「カーク氏が暗殺されて以来
彼を称えない人や 死を喜んだ人に対して
解雇、処罰、社会からの追放を求める
共和党関係者が多く見られます」
Josh Boak, The Associated Press:
“Since Charlie Kirk's assassination, we've seen a lot of Republican officials call for people who did not necessarily honor Kirk or even celebrated his death to be fired, to be punished, or even ostracized.””
すでに学校の教師、3大航空会社ビッグスリーの社員などがカーク氏銃撃事件についての投稿で解雇処分になっています。SNSではカーク氏の銃撃を肯定する投稿を行なった人物の住所や勤務先など個人情報を公開する「ドクシング」サイトもあり言論の自由が弾圧される可能性を指摘する声も出ています。今後、分断がさらに深まることが懸念されています。