アメリカの大手鉄鋼メーカー「USスチール」が、日本の日本製鉄に買収される見通しとなりました。
買収額はおよそ2兆円にのぼる鉄鋼業界の大型合併となりますが、アメリカでは、歴史ある大企業が、他国企業に買収されることに抵抗感を示す人々も多くいます。
日本時間の18日、月曜日、鉄鋼メーカー「USスチール」を、ニッポンスティール、日本の日本製鉄が、およそ150億ドル、現在のレートで2兆1500億円ほどで買収すると発表しました。
122年の歴史をもつ「USスチール」は、アメリカでも最も歴史ある大企業の一つで、銀行家のJPモルガンと鉄鋼王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーによって設立され、20世紀のアメリカの工業化を築き上げた象徴的な企業です。
マイケル・エバノビッチ/USW組合長「古くからある会社がもうなくなってしまったような気がします。たとえ名前を残したとしても、もはや自国のものではない」
組合員らは買収合意を激しく非難しており、買収合意は会社との合意に違反していると主張しています。
また産業側でも、買収による国家安全保障への懸念も示しています。
ジョン・フェッターマン上院議員ペンシルベニア州「鉄鋼産業は国の安全保障であり守られるべきです。経営者が簡単に外国企業に売却するなど、とんでもないことです。」
「USスチール」の最高経営責任者は、「買収は、私たちが国内競争に勝つためで、相手は信頼できる同盟国日本なので安全保障を侵害するリスクは少ない」と説明しています。
この買収で、現在世界の鉄鋼生産のおよそ54パーセントを支配している中国に対抗するのに役立つ可能性があるとされています。
実際にこの買収が発表された直後から、USスティール株は大幅な値上がりを見せ、1カ月前に比べおよそ40パーセント株価が高騰しています。
USスチールの買収に関して、株主は投票する権利があり、実際に買収合併が決定するには、規制当局の厳しい検査を受ける必要があります。