アメリカ経済を揺るがしかねないと心配された鉄道ストライキを回避です。邦議会下院に続き上院も、鉄道労働者によるストライキを回避するための法案を可決しました。
鉄道業界では2020年から鉄道会社と従業員の労働組合の間で、主に賃上げを争点とした労使交渉が続いています。今年9月に暫定合意に漕ぎ着けましたが、一部の組合が合意を否決したため、今月9日から再びストライキに発展する懸念が高まっていました。
ストライキに突入した場合、サプライチェーンの混乱で品不足となり、あらゆるものの物価が高騰。全米の貨物輸送の30%が停止し、アメリカ経済に1日当たり約20億ドルの損失が見込まれます。また、通勤や旅行に鉄道を利用する約700万人に影響が及びます。
経済に深刻な影響をもたらす事態を避けるため、議会は憲法の通商条項に基づき介入し、ストライキを防ぐことが認められています。民主党のペロシ下院議長は議会で「鉄道の停止は壊滅的な打撃になります」と語りました。先月30日水曜日、ストライキを回避すべく、連邦議会下院は超党派で今年9月の暫定合意を採用する法案に加え、鉄道労働者に有給の病欠7日間を認める法案を可決しました。1日木曜日には、上院も暫定合意を採用する法案を可決しましたが、有給の病欠を認める法案は否決されました。 このため労働組合からは不満の声も聞かれ、バイデン政権への批判につながる可能性も出ています。