舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
ちと専門的な話から・・・
脚本の良さを最大限に引き出し、
役者に、伸び伸びと演技させたのは
演出家マシュー・ウォーカス(『大人は、かく戦えり』)。
"貧乏"、"逆境"、"児童虐待"の3拍子がそろった物語を
人気コメディアン兼シンガー、ティム・ミンチンのキャッチーな楽曲と
生き生きとしたピーター・ダーリン(『リトル・ダンサー』)振付のダンスで
小気味良いテンポで演出。
アルファベットの書かれた積木を
重ねたような創造をかき立てる舞台装置、
地味ながら虚飾なく
英国の伝統美を感じさせる衣装からも
ウォーカスのセンスの良さがヒカルのだなぁ・・・・。
舞台芸術としての完成度は今シーズン一番!
子役ミュージカルの真骨頂ですな!!
と、こことまで褒めちぎったが・・・・
気になったことが・・・
至福の眼福だった
『ライオンキング』
『ウィキッド』
『ブック・オブ・モルモン』
と比べると、興奮度は3割り減(これはある意味致命的かも?)
とはいえ、
NYタイムズ紙の劇評はグー。
2013年のトニー賞では12部門にノミネートされ、
チケットの売り上げは急上昇。
しばらくは安泰たい!
皆さんも、この機会に
劇場へ足を運んでみたら?
観劇することで幸せになったり、
人生変わるくらいの影響を受けられる作品に出会えるなら、
チケット代も、決して高くはないかもよ!?
みなさん、おきばりやすぅ。
粒揃いのキャスト
昨日のブログでお伝えした様に、
『マチルダ』の見所は、
子役達の演技力、歌唱力、ダンスのレベルの高さ
大の大人たちに混じってもまったく遜色なし!
子どもっぽい可愛さを売りにしていないところが、またいい。
さすが、超狭き門のオーディションをかいくぐっただけのことはある!
しかーし
一体どうしたら、
『マチルダ』のキャストのような
物おじしない優秀な子役を育成できるのか?
余談だが、こっちで、そのハウツーを学び、
ステージママをターゲットに
日本で子役学校を始めれば
ガッポガッポだぜよ!!
ところで、日本の子役と言えば
古くは、宮脇康之(「ケンちゃん」シリーズ)
杉田かおる(「パパと呼ばないで」)
安達祐実(「家なき子」)
最近では、大のおとなが腰を抜かすほどの迫真の演技で
日本中の涙を誘った子役など
いつの時代にも流星のごとく天才子役が現れては消え、
栄枯盛衰の芸能界を支えているのね。
アメリカにも同様に子役の系譜があるけれど、
子どもらしい愛くるしさが、まず評価される日本に対して、
ブロードウェイの子役たちはというと・・・・・
大人同様に、舞台人としての総合的な素質が求められている。
余談が続くけど、何を隠そう私にも・・
神童の過去が・・・
10歳くらいからノド自慢荒らし。
(そんころ、"博多の美川憲一"と言われていた、笑)
夜は夜でバンドのボーカルとして、宴会に出演(ギャラはワンステージ3千円)
今でいうと
"博多のマチルダ"的存在やったとよ! 笑
話を『マチルダ』のキャストに戻すと・・・
マチルダ役に引けを取らない、
いやそれ以上に圧倒的な存在感を放つのは・・・・・
男優バーティ・カーヴェル。
UKオリジナルキャストの一人で、
校長トランチブル女史役の怪演で
ロンドン演劇界最高の栄誉オリヴィエ賞で主演男優賞を受賞。
傲岸不遜な態度で、キョーレツな憎まれ役になりきった
鬼のような彼女(彼)は、一見の価値あり!
次回に続くよ・・・・
皆さーーん、お初でーす。
ブロードウェイの夢先案内人、トシ・カプチーノ(トシカプ)でございます。
ニューヨークで舞台芸術のシャワーを浴びて18年。
客席から、
舞台裏から、
制作サイドとして(時には舞台に立って)
パフォーミングアーツを見てきました。
おかげで私の人生は面白おかしく大変豊か!
そんな素晴らしい舞台の世界を、本ブログを通して皆さんにお裾分けー。
このブログを読んだら、今日からアナタもブロードウェイ博士!
さあ、生身の人間の熱を体感できる究極のアナログ空間
ブロードウェイにご案内しまーす!
記念すべき第1回目はーーーーーー
先週、FCIの朝の情報番組「モーニングEYE」で特集した
新作ミュージカル『マチルダ』。
いきなりですが、
そもそも『マチルダ』って、
一言でどんなミュージカルなんでしょうか?
それは、孤高の天才少女の無理解な大人への復讐物語なんです!
そして一番の見所は、ブロードウェイ子役達の想像を絶する、
大人顔負けの実力と存在感。
これに尽きますゾ。
先ずは、見てない貴方もマチルダを語れてしまうトリビアを少々、エッヘン
◎原作者は、ジョニー・デップ主演の映画「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)の
基となる本を書いた児童文学者ロアルド・ダールという人
◎初演は、2010年。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の
本拠地ストラトフォード・アポン・エイヴォンで。
そう、同作はイギリスの名門劇団RSCが放った、久しぶりのミュージカル作品。
それも家族向け! そんな話題沸騰のミュージカルが、
2011年冬にウエストエンド(まー、ブロードウェイの英国版かな)へ進出したので
ございます。
◎2012年には、ロンドン演劇界の最高峰オリヴィエ賞(イギリス版トニー賞)を
総ナメしたんでございますわヨ、奥様!
主な登場人物:
マチルダ......天才少女
ワームウッド夫妻......マチルダの両親
トランチブル女史......鬼のような女校長
ミス・ハニー......マチルダの担任の先生
フェルプス夫人......図書館司書
ストーリー:
どうせ、ガキのミュージカルだろ・・・
なんて、舐めてかかっていると痛い目に合うかも!?
案外物語の筋立てが錯綜していて、
1幕で"ギブアップ"ってことになりかねないの。
だからこれからマチルダを観に行くあなたも、
観ないで知ったかぶりたいという人もお読み遊ばせ。
下層階級の家族の下に生まれたマチルダ。
母はボールルームダンス狂で育児を放ったらかし。
男の子を望んでいた父は、女の子のマチルダを毛嫌い。
本を読むのが大好きなマチルダに両親は、
時間の無駄だと、本を破り捨て読書をやめるよう強制する。
マチルダは弱冠5歳で難解な英文学を読み、掛け算も完璧にこなす天才少女。
その優秀さに担任のミス・ハニーは驚嘆。
マチルダに英才教育を施す事を考える。
しかし校長トランチブル女史はそれを却下するだけでなく、
頭脳明晰なマチルダをイジメ抜こうと企てる。
マチルダは図書館が大好き。
いつしか、図書館の司書、フェルプス夫人と仲良しになり、
彼女に自作の物語を聞かせるようになる。
その物語とは・・・
担任のハニー先生の生い立ちをなぞった不思議な物語だったのだ。
そしてついにトランチブル女史がミス・ハニーの叔母と知ったマチルダは
悪の根源はトランチブル女史だと確信し・・・。
ジャジャーーーン
さて、手に汗握るサスペンスを残して、続きは明日に!