舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
今は夏ゥー♪
私は、東京に来てまーす!
おさんどんから解放され
上げ膳据え膳の華麗なる世界へ!
ららら♪
東京で話題の覆面ナイトもゴイス!
ニューヨークのアレを超えたぜー!!
私的なことは置いといて
音楽劇「ナンス」のつづき
まずはちょっと専門的に蘊蓄コーナー(ナンス・トリビアでーす!)
◎脚本は、ダグラス・カーター・ビーン。
ミュージカル「シンデレラ」や「ザナドゥ」を再生し、ヒット作へと導いた陰の立役者
本作では、ネイサン・レインのイメージを膨らませ脚本化
◎演出は、ジャック・オブライアン。
70歳過ぎのお爺ちゃんだけど、トニー賞常連の現役バリバリ。
芝居からミュージカルまでマルチな演出力には定評あり。
本作では、ミュージカル「ジプシー」を彷彿とさせる劇中劇を
随所に盛り込んでいる。
「ナンス」って・・・
1930年代の昼メロ
はたまたB級映画のようだけど、
なんか心に染みるだよねー。
しかーし
私的に残念だったことが二つ・・・
◎中年ゲイに夢と希望を持たせてくれる純愛ストーリーはいいのだけど、
白馬に乗った星の王子様のようなイケメンが、野暮ったい貧乏な中年ゲイに
惚れることが、あまりに不自然。
◎ アンチ・クライマックス・・・。
中年ゲイに人生の希望を残したエンディングして欲しかったぁー。
トム・ハンクスの芝居「ラッキー・ガイ」にお株を奪われた「ナンス」。
だけれど、作品のクオリティは高く、ネイサン・レインの演技の引き出しの多さにも驚きの一言だぜ!
演劇好きは韋駄天走りで劇場は行くべし!
目からウロコいい芝居が観れまっせーーー!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけでなく
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった
素晴らしいもんなんですよね!
トシカプ評:★★★★
8月11日閉幕予定
Theatre Information:
Lyceum Theatre
149 West 45th Street
New York, NY 10036
私が、まだ駆け出しのショーワ、ショーワのころ!
文句あるぅー?
今みたいに自分が同性愛者だなんて
「ヨイトマケ」の美輪明宏様以外
口が裂けても言えなった時代!
そりゃーもー
日常の男性的所作から
偽造ガールフレンド作りまで
涙ぐましい努力していたさ。
それでも、グラスもつ小指がピーンと立ってる自分にドキッとしたりwww
そんな社会的タブーの下での欺瞞、なりすまし、など
このココロのヒダヒダ状態って、
まさに演劇の格好のネタじゃーなーい??
ブロードウェイで上演中の「ザ・ナンス」は、
まさに同性愛者の悲喜交々の葛藤を描いた最新作
何じゃ、その「ナンス」って!?
とお思いの方のために・・・
ナンスとは、バーレスクなどのお笑いパロディショーで、
ヘテロセクシャルの男が、おねえキャラを演じる役者の呼び名
今の日本でそれやっている人??
ワハハ本舗の梅ちゃんこと梅垣 義明さん!?
藤井隆もそのひとりか?
本芝居では、主人公チョンシー・マイルスが、
舞台でオネエを演じながら、
私生活でもモノホンのゲイという設定で物語が進んでいくのだよー。
見どころは?
コメディに必要なのは卓越した演技力。
トニー賞俳優ネイサン・レインがすごい!
絶妙なタイミングで笑いのツボを押さえながら、
インテリでシリアスな側面を持つ中年ホモを好演。
そこに、彼の天性の魅力も加わるから台本の過不足も払拭している。
◎ノンケが知らない世界、1930年代のハッテン場
いわいるホモの出会いの場となるコーヒーシップを芝居に再現。
当時のお仲間ちゃんたちは、涙ぐましい努力をして、
おホモダ達を見つけていたのだねぇー、泣けてくるぜー。
◎トニー賞最優秀装置デザイン賞に輝いた舞台装置が
しゃれとんしゃー(博多弁でステキという意味)。
コーヒーショップ、舞台正面、舞台袖、楽屋、チョンシー・マイルスのアパートが
コンパクトにまとめられた廻り舞台。
◎イケメンの全裸入浴シーン
最近安直な客寄せ安全牌としてブロードウェイは裸が花盛りぃー。
でも本作ではそれが効果的に使われている?!
ストーリー
舞台では、私生活で寂しい晩年をおくるチョンシー・マイルス。
ある日、ゲイのハッテン場(出会いの場)で、
凛々しいイケメンと恋に落ち、同棲生活にハッテン。
ゲイに対する社会の弾圧は増す中で二人は
芝居だけど、「ナンス」のこと、もっと知りたくなったかにゃ!?
つづく
90年に大ヒットしたミュージカル「ミス・サイゴン」
作品の評価以外でも、アジア人の主役に白人を抜擢したという事で、
当時ニュースなどで議論が紛糾。
今回、オフとは言え、「HERE LIES LOVE」のキャストが
オール・アジア人というのは、もうそれだけで感慨深い。
思えば遠くへきたもんだーぁ♪
ちょっと専門的に蘊蓄コーナー(トリビアを披瀝したい人だけどうぞ)
◎プロデューサーは、オフ・ブロードウェイの名門パブリックシアター。
銭儲けより、芸術性の高い作品を創作することを目的とした非営利演劇団体。
オン・ブロードウェイに送り出した作品は数知れず。
その中で世界的なヒットとなった作品にはミュージカル「コーラスライン」や「ヘアー」がある。
◎前述した二人の天才のひとりが、原案、作詞、作曲を手掛けたデヴィッド・バーン。
70〜80年代に芸術性の高い
オルタナティブ(既存のものと取ってかわる新しいもの)ロックミュージックで
音楽界を一世風靡した元トーキング・ヘッヅのメンバー。
バーンはイメルダ夫人が
NYスタジオ54の常連だったということから
ヒントを得て、
イメルダの生き様とディスコをコンバインさせたんだとか!
◎天才二人目は、アレックス・ティンバーズ。
今ブロードウェイ演劇界から最も注目されている演出家。
私が彼を知ったのは、
2006年オフオフ・ブロードウェイで上演された「ヘルハウス」。
9つの恐怖の部屋を解説つきで案内してくれる
21世紀のお化け屋敷のショーに私は度肝をぬかれたわ。
2013ー14シーズンでは映画「ロッキー」も
彼の演出によってミュージカル化されるのだぜよ!
ニューヨークで暮らしていると、
肌の色が違うというだけで、
嫌な思いをすることもたびたび。
でもね、この作品を観た後、
ニッポン人(アジア人)である自分が、スゴーく誇らしかった。
あえて、小姑根性でダメ出しさせて頂くと・・・
あまりにエンターテイメント性が重視されているから?
観劇後のイメルダ夫人の印象が薄い。
最後にチケット情報
まず謝罪から・・・
みなさん、めんご、めんご。
カプチーノ折り紙付きの本公演のチケットは、
最終日7月28日までソールドアウト!
私を、ひっぱたくなり、ドつくなり、ツッコムなり、好きにしてちょうだい!
まあ今回は残念だけど、来年、ブロードウェイにやって来る!?
私はそう信じて疑いません。
観れなかった恋人たちよ、来年まで辛抱強く待つのだよ!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけじゃなく
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいものなんですね。
トシカプ評 ★★★★★
Public Theater/LuEsther Hall
425 Lafayette Street
New York, NY
前評判が高く、制作費も湯水のごとく使った王道大作ミュージカルはハズレなし。
しかーし、
オフ・ブロードウェイの小劇場で隠れた珠玉の名作を発見するっても観劇の醍醐味!
「HERE LIES LOVE」がまさにソレ!
知る人ぞ知る、今でしょ!ミュージカルなのだぜよー。
私がそれを初めて観た時
カラダ中に電流が走り
脳天をかち割られる衝撃を受ける稀な事件に遭遇したのでございます!
観劇後は、悲しくないのだけど、劇場の隅でシクシク。
NYで暮らしていることを、心から神様と母に感謝してしまったのです!
では、「HERE LIES LOVE」ってどんなミュージカルなのか!?
イメルダ・マルコス元大統領夫人の半生を
70年代のおディスコサウンドで描く新作ポップオペラ風ミュージカルなのだぜよー!
イメルダ夫人といえば、フィリピンの元ファーストレディー
欲望の赴くまま
独裁者として君臨した夫の威を借り
金と権力を自由自在に
ファッションやエステ代など自分に費やした金は
ななんと1兆円
IKKOさんの月のエステ代350万円なんて可愛いもん
日本のバラエティ番組で"ひな壇"を飾っている"あのご夫人"でも
イメルダの贅のすべてを尽くした生活に比べたらお子ちゃまなのよー!
その美味しすぎる題材をミュージカル化したのは二人の天才なのさ!
見どころは?
◎既成概念をぶち壊すNYならではの演出!
◎ 究極の新スタンダード参加型パフォーマンス
軽装、スニーカーで行くのがベスト。
十二単は無理だよーん!
◎キャッチー、アピーリングなスバラシイ音楽
シンディ・ローパー書き下ろしの「キンキー・ブーツ」も
私の心を鷲掴みだったけど、コレも全く負けちゃーいない。
シンプルながらビートのきいた曲ばかり。
特に、ラストソング「Here Lies Love」は耳に残る名曲なのさー!
◎一心不乱に役への思いの丈をに伝えようとする熱い全アジア人キャスト
男性陣の若さと動物的しなやかさのコンビネーションは最高。
まさに、ゲイ・アジアン・ナイト・・ワイルドだぜぇー!
彼らにチップあげなくてい井の頭、なんて脳裏をよぎったほどなのさ!
つづく
6月11日放送の「モーニングEYE」トニー賞特集はごらんいただけましたでしょうか?
お陰さまで評判も上々だったようで、「見たよ」「良かったよ」と言って下さる方が・・・
中にはこんな方も
「スゲー・・スター誕生ですねー!あーたは21世紀のバーブラですよー、きゃー」。
きっとこの方、お仲間でしょうね?w
「カプチーノさんの声いいですねーー」。
はい、声とフクラハギはよーく褒められますwww
うひひ、人生変えちゃう夏かもね
さて、第67回トニー賞リバイバル賞に輝いた「ピピン」
「ピピン」とは?
手に汗握るアクロバティックなサーカスと、創造性溢れるダンス、
一度聞いたら忘れられない名曲の数々を一度に楽しめるミュージカルなのさ。
発案者は、ボブ・フォッシー。
「シカゴ」、「キャバレー」など数々の名作を生んだ天才振付家。
音楽界ではマイケル・ジャクソンのダンスに多大な影響を与えた神様仏様みたいな人なのよー。
ピピンの魅力に読み解くキーワードは、ボブ・フォッシーの振付
フォッシーちゃん、若ハゲと身長の低さにコンプレックスがあったと言われていたのだよ。
しかーし
彼はそれを逆手に取って、自分のコンプレックスを目立たなくするため、
フォッシースタイルのダンスを編み出したのさ!
厄転じて福となすーってやつだわさ。
フォッシーちゃんのダンスの大きな特徴は?
♪首の傾き加減
♪指や腕の絶妙な動き
♪帽子の持ち方
♪バレエと逆の足の開き方
その独特なダンスは究極のエロスの謝肉祭。
あとにも先にもフォッシーを超える振付家は出て来ないね、キッパリ!
ピピンの魅力を明かすキーワードの二つ目は、再生。
演出を手掛けたのは、ダンアン・ポーラス。
「ヘアー」、「ポギーとベス」の演出を手掛けたミュージカル再生の達人だーーー!
本作で彼女は、ボブ・フォッシーのコンセプトを強固にするため
モントリオールのサーカスグループ「les 7 doigts de la main」を加え、サーカス色を濃厚に。
それはまるで六花亭マルセイバターサンドを10倍濃くした感じ。
このサイトを覗いてミソ!
↓
超オサレー!超カコイー!
シルク・ドゥ・ソレイユもだけど、なぜにサーカス系のエンタメの本拠地って
カナダ、ケベックなんやろうか?どういう土壌なのか、個人的に興味津々なので今度取材したーい。
ピピンの魅力の3番目のポイントは、66歳のオバーちゃん女優の踏ん張り
「ピピン」の究極の見どころはピピンの祖母バーサが歌うシーン。
バーサに扮するのはアンドレア・マーティン。
圧倒的な強さでトニー賞助演女優賞を受賞した御歳66のコメディ系女優。
な、なんと彼女、アメリカ人演劇ヲタクなら誰もが口ずさめる
名曲中の名曲「もう時間がないの」(No Time at All)を歌いながら、
命綱なしで空中ブランコの曲芸を披露。
歌のあと、その踏ん張りに観客は拍手喝采。
常に総立ちとなり、ショーストップ(私の観劇日もそうだった!)するほどの大盛り上がり。
常軌を逸したブロードウェイ俳優陣達の年齢を超越した匠の技、
コレを見るだけでもチケット代払う価値あり!
最後に、小姑根性で重箱の隅をつつかせてもらうと、
燃料切れかぁーーー?
一幕に比べて、二幕は興奮度が半減、ちと退屈。
けんど、歌も踊りもサーカスもほんとスンバラシィーでshow!!
トニー賞受賞を受けてチケットは来年1月まで絶賛発売中!
ミュージカルって、ブロードウェイって楽しいだけじゃなく
ほんっとうに役に立つ人生訓がギュっと詰まった素晴らしいもんだんですね。
トシカプ評 ★★★★
Music Box Theatre
239 West 45th Street
New York, NY 10036