舞台芸術評論家、プロデューサー、タレント。「STOMP」,「RENT」の日本公演に携わる。コメンテーターとしてテレビやラジオにも活動の場を拡大。トークショー「トシ・カプのブロードウェイ言いたい放題」は、内容の濃さと面白さで好評を博す。NYのジャーナリストや演劇評論家130名で構成されるドラマ・デスク賞の審査員を務めている。ワハハ本舗所属。
観劇@ヒュー・ジャックマンの芝居「ザ・リバー」。
おヒュー様の新作芝居ということで
期待に胸を膨らませて劇場へ向かったのですが・・
あたくしったら、おヒュー様のお芝居なのについウトウト・・・失礼。
一番盛り上がったのは終演後のオークション
おヒュー様が劇中で使ったTシャツとタオル
おヒュー様と記念撮影が
100万円
で落札されるサプライズが!
ちなみに落札したのは
50代の白人女性
観劇レポは追ってアップする予定!
当ブログでは、役者目当てで劇場を目指す、
というお話を再三に渡りして参りましたが、
これは何もキラビやかに大スターの光輝を振りまく
看板役者ばかりに限った話じゃございませんのよ!
時には、大立者に寄り添う名脇役の存在が
スターを一層引き立てたり、
舞台全体をギュッと引き締めたり、
下手すりゃ後々まで色褪せぬ余韻を残したりして
主役を食っちゃったり、なんて事も・・・。
ブロードウェイの名脇役として
私が推しているのが、
舞台女優、
そしてスタンダップ・コメディアンヌ(漫談)の
ジャッキー・ホフマン様・・・
日本で言ったら、
泉ピン子、
菅井きん、
事務所の先輩久本雅美さん、
あたりの感じでしょうか?
とにかく、
お芝居も
お笑いも、
その存在自体に、
スルメの様に
旨味成分を多量に含んだ
名脇役なのよー!
トレードマークはデッカいお口
はっきり言って、美人じゃないが、
3枚目役をやらせたら天下一品!
私が彼女を知ったのは
2002年初演の「ヘアスプレー」
出演時間はたった2分
たけど、その時のハチャメチャぶりが忘れられん!
その後、 2007年、「ザナドゥ」では、
軽ーいポップなミュージカルを
抱腹絶倒のコメディにした立役者となり
2012年、「アダムス・ファミリー」では、
さらに重要な脇役として演じたのが
一癖も二癖もあるトラブルメーカーのおばあちゃん役
舞台上に新たなディメンションを与えて
奥行きやメリハリといったスパイス的なものを加味するの。
何を隠そう、
私のキャバレーショーの師匠はホフマン様。
彼女が定期的に開催するジョーズパブでの
キャバレーショーは欠かさす拝見、ハイ!
毎回、
自虐ギャグは
爆発的な破壊力で、
劇場は常に笑いの渦にさせちゃうのよ・・・
で、今回、心のお師匠さん、ホフマン様が
久々にミュージカルに
ご出演されるっちゅーじゃないですか!
それが・・・・
「オン・ザ・タウン」
初演は1944年。
ななんと、あーた70年前。
ぎゃーっ、終戦の前の年じゃん!
そんな際どい時代に
楽しく笑いに満ちたミュージカルを
作ってたのね、アメリカって・・・
さすがミュージカル大国!
「オン・ザ・タウン」はその後、
ジーン・ケリー、フランク・シナトラ主演で映画化。
日本では『踊る大紐育』と題され大ヒットしたのよね。
でもね、初演では大当たりした舞台版なのだけど
71年、98年と2度再演されたが
すべてが短命におわっちゃったのさ。
はてさて、3度目の再演の出来はいかに?
ストーリーは・・・
NYで24時間の休暇を得た
ゲイビー、オジー、チップの水兵三人が
デートの相手探しをするドタバタ劇。
地下鉄でみかけたポスターの女性に一目惚れした
ゲイビーはオジーとチップの二人も力を借りて
ニューヨーク中を探すのだが・・
見どころは・・・
◎アメリカ音楽界のレジェンド、
レナード・バーンスタイン(1918〜90)の手がけた音楽
とにかく名曲ぞろい!
特に「ニューヨーク・ニューヨーク」は本作の鉄板曲として超有名よねー。
あの「ウエストサイド物語」の名曲「トゥナイト」は
この流れの中で生まれたのねぇ。
◎ダンス・ダンス・ダンス
オリジナルの天才振付家、
これまたダンス界の重鎮、ジェローム・ロビンス
彼のダイナミックなダンスシーンは、
それだけでもこのミュージカルを観る価値あるってもんです。
◎ゲイビー演じる、トニー・ヤズベック
中近東系の褐色の肌に濃いお顔、
私にもわけて欲しいほどの黒々とした髪を
きっちり七三分けにしているお方よ。
米倉涼子主演「シカゴ」の凱旋公演で
ビリー役をやった方でもあるから、
日本の方でご存知の方も多いはず!
ダンスもお上手、演技も合格点・・
ルックスも私好み!
ブロードウェイの初主役・・おめでとう!
◎そして、ワタクシが大注目のジャッキー・ホフマン
今回は、なんと1人4役 だってんだからスゴイ。
「ヘアスプレー」の時は、
出番は二分のちょい役だった彼女が
「オン・ザ・タウン」じゃ7、8分と露出度大幅アップ
老婦人役も
酒乱の音楽の先生役も
ナイトクラブのシンガーA役も
ナイトクラブのシンガーB 役も
大忙しじゃない!?
舞台からはみ出しちゃう様な魅力が炸裂する!
笑いのタイミングは、あのネイサン・レインをも凌駕してる!?
70年も前の、ある意味ゾンビのようなミュージカルなのに
現代風に見応えある作品に仕上げた演出は秀逸よ。
漫画チックなドタバタ場面があるかと思えば、
リンカーンセンターでバレエ公演を
見ているようなアーティスティックな側面もあり
前回の再演(99年)をはるかに上回る仕上がりなのさ。
また、ニューヨークの名所旧跡を
バーチャルで楽しませてくれるだけでなく
歌と踊りと笑いがいっぱいの2時間30分!
ブロードウェイ・ミュージカル初心者におススメの作品でございます!
もし、本作を母国で上演するなら
今年10月、すでにV6トニセンによって翻訳されたが、
再演にはぜひこの方々に・・・・
初代いいとも青年隊の
アツシ(オジー役)
マコト(チップ役)
ケンジ(ゲイビー役)
最近、80年代スターの再ブレイクが流行っているし
時代の流れにハマるかもよー。
あーでも、ケンジ様がアレだから無理だわ・・・とほほ
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★
Lyric Theatre (formerly Foxwoods Theatre)
213 West 42nd Street
New York, New York 10036
.
.
40年近くにわたり
ポピュラー音楽界で
不動の位置を築き上げ
巨万の資産を築きながらも
社会奉仕や慈善事業に心血を注ぎ、
その実直な私生活でも知られる、
大物感、大御所感ハンパ無い・・・
スティング様
...,
御年63歳
これまでの輝かしい
公私にわたる経歴に、
更なる年輪を刻まんと、
なんとブロードウェイ・ミュージカルに挑戦
そのミュージカルが・・・・・
「ザ・ラスト・シップ」
.
.
元になっているのは、
2013年にリリースされた、同名のアルバム
これまでの、グラミー賞ソングライターの
ブロードウェイ進出といえば
2000年、「アイーダ」エルトン・ジョン 作曲のみ
2010年、「スパイダーマン] ボノ(U2) 作詞作曲
2012年、「キンキー・ブーツ」シンディ・ローパー 作詞作曲
。
などが思い出されるが、
スティング様の場合、何が凄いって、
戯曲のコンセプトから音楽まですべてが彼のアイディア。
もちろん、作詞作曲はスティング様ご本人の書き下ろし。
そして・・・
ミュージカル「ザ・ラスト・シップ」の誕生秘話
長期に渡り、全く曲作りができないスランプ陥っていたスティング。
そんな中、頭に浮かんだのが、
自らの故郷、英国のウォルズエンドという造船の街。
それを振り返ったときに湧き出るように曲が出来たのだという。
そこからミュージカル制作へ発展したのだと・・・
行き詰まりを憶えた大物アーティストが、
長いスランプのトンネルの向こうにみた、一条の光、
遠い昔に見捨てた故郷にインスパイアされて、
創造力を回復して行く。
そのプロセス自体がとてもドラマチック!
ストーリーは・・・
物語の舞台は1980年代のイングランド北東部の造船業の町。
野望を抱き、女を捨てて街を見捨てた男が,
父の死をきっかけに 故郷に戻ってくる。
15年ぶりに戻ったその街は造船所の閉鎖で
変わり果てた姿になっていた。
.
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.
.
見どころは・・・・
◎なんと言っても、目玉はスティング様書き下ろした楽曲!
一曲一曲、天から授かったようなケルト音楽の旋律が
随所にちりばめられた、 心に残るフレーズの数々。
ポリス時代の大ヒット曲「Every Breath You Take」
邦題「見つめていたい」から30年以上が経過したけど、
御年63歳の彼の創作力は、まだまだ現役!
トニー賞楽曲賞はもう彼に決まり!
◎振付 振付はスティーヴィン・ホゲット
ブロードウェイの典型的なシアターダンスとは異なり
印象深いアクションを取り入れることを得意とする振付家だ。
本作では、足をストンプ、ジャンプさせる野郎っぽい動きを随所に。
アイリッシュダンスや、オフ・ブロードウェイ「STOMP」を思わせる。
制作陣には「RENT」を
ブロードウェイの名作ミュージカルに押し上げた
ジェフリー・セーラーとケヴィン・マカラム他
巨額の賭けをする脂ぎったプロデューサーたち。
また、ブロードウェイのトップ・クリエイターの顔ぶれだけでも
鼻息ゼェゼェ聞こえるような、大いなる野心的なものを感じる!
世界的なヒット曲を連発したカリスマ、スティング様の
ブロードウェイデビューだもの・・・
製作陣の方々も、絶対に失敗は許されないと
肝の命じて望んだプロジェクトだと思うのだけど・・・・
暗い
とにかく
暗い
スティングの実体験から来た
リアルな人間関係の複雑さ、
時の経過など普遍的なテーマを
盛り込もうとした意図は解らなくもない
ブロードウェイのミュージカルにありがちな
愛の力ですべて解決、めでたしめでたしな
予定調和作品でないことも分かっている。
ミュージカルが成功する重要な要素である脚本
肩に力が入り過ぎた感、
詰め込み過ぎ感が拭えない。
○船のオーナーとの諍い等、斜陽の造船村の労働争議
○三角関係なラブ・ストーリーの要素
○それぞれに、プロットを抱える、多すぎる主要人物
などなど、 盛り過ぎたために、
図太いメッセージ性や深い人物描写にまで、
至らず焦点がぼやけてしまったのは残念。
売れるミュージカルにしなければという
気負いがありすぎちゃいます!?
「ライオン・キング」の演出家
ジュリー・ティモアも言っておりました。
脚本と同じくらい重要なのは
"伝える方法だと"
いっそのことスティングの
モノローグ・ミュージカルってもありか!?
舞台にはスタンド・マイクだけ。
ギター一本で
造船所の思い出も語りながら歌う。
特別限定2ヶ月間公演
チケットは即完売だろう・・
10月26日に処女航海に出た本作だが・・・
スティングのコンサートに
舞台上に添付されたミュージックビデオを見に行く、
くらいに割り切って鑑賞するならば、
彼のファンにとっても
忘れ難い舞台になるのでは・・と思うが・・
豪華の舞台装置上で美男美女が
キラキラ系の衣装に身を包み、
音楽やダンスで夢の一時を
堪能したいという方にはおススメしません。
果てして、スティングのミュージカルは
不死鳥
それとも
灰・・・???
もし、母国で翻訳上演するのなら・・
15年ぶりに故郷に戻ってきた男役は
石丸幹二様
半沢直樹で見せたクソ上司のような泥臭い演技を期待します1
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★(★)
Neil Simon Theatre
250 West 52nd Street
New York, New York 10019
ブロードウェイ観劇の楽しみ方は千差万別。
その中に、
お気に入りのスター俳優さん見たさに、ってのがある。
それって作品目当てで
「宝塚歌劇団を観に」ってのと同じ様に、
看板女優だった
大浦みずき様
草笛光子様
純名里沙様
観るために宝塚劇場に
足を運ぶって人達がいるように・・・
今回ご紹介するお芝居が、ちょうどそんな感じ。
日本じゃあまり知られていませんけれど、
ブロードウェイの愛されキャラとして演劇通ならお馴染み
ベテラン女優ブライス・ダナー主演のお芝居。
実は彼女の娘さんは、
言わずと知れたあのオスカー女優(『恋におちたシェイクスピア』)
グウィネス・パルトローよー!
勿論、母親であるダナーさんの方が
芸歴は長いのだけれど、
今や娘の方がビッグになっていまって・・・。
こーゆーの、
逆光型の七光り、
とでも言うのかしら・・・苦笑。
それはさておき、
ブライス・ダナーが今期、主演するお芝居は・・・
「ザ・カントリー・ハウス」
チェーホフの「かもめ」と「ワーニャ伯父さん」に材を取り
ピュリッツァー賞という、どえりゃー権威のある賞を受賞した
ドナルド・マーグリーズ氏の戯曲さ。
ストーリーは・・・
老女優アナの娘の一周忌を迎えたある夏の日、
親族が、アナの別荘に集まることに。
なんとそこに、アナの友人で超モテの人気俳優マイケルが
訪問したことで女たちの間で一騒動勃発・・・。
見どころは・・・
◎粒ぞろいのキャストの面々
個人的な趣味で言えば・・・
女達を魅惑するイケメン俳優を演じる
ダニエル・サンジャタ
やっぱり超セクシー!
肉感的魅力に溢れた好男子を
時として「ビーフ・ケーキ」
なんて形容する事があるけれど、
まさにそんな感じ。
でも日本語で、
「肉菓子」とか「肉団子」
なんて言っちゃうと
ヤラシサ倍増だわぁ〜♡
実生活では独身のサンジャタ君
ゲイか?ストレートか?
と噂されているけど・・
私思うに彼はXXXXXXXでしょ!
ちなみに私は、彼が主演したゲイの大リーガーを描いた芝居
「テイク・ミー・アウト」のシャワーシーンで、
彼の並々ならぬ、肉のお菓子の立派さにウットリ・・・ キャッ 、
いけないわ、
いけないわ、
ダメよ、ダメダメ
主演のダナー様を
おっ放り出して暴走しちゃった・・・
他にとっても印象的な好演で
見応えが有ったのは、
何もやってもダメな落ちこぼれ
エリオットを演じたエリック・ラング
テレビ界では経験豊富な中堅どころ俳優だけど、
意外にも舞台初挑戦!
絶対はまり役!
熱の籠った演技はピカイチ!
◎主演女優ブライス・ダナー
陽気でグラマラスな老女優を主人公にした本作は
まるでダナー自身を描いたような芝居。
が、しかーし
チェーホフをモチーフした芝居にしては
悲喜こもごもが描ききれずに中途半端。
昼メロレベル・・・アー言っちゃった!
ダナーはじめ、せっかく良い役者揃いなのに
アー勿体ないったらありゃしない!
劇場を見渡すと、観客はご年配の方ばかり
もちろん、お目当てはブライス・ダナーその人。
彼女の声が聞こえただけでも拍手喝采!
まさに、チェーホフの現代版を
観に来たってよりも、ダナーを観に来た、って感じ。
そんな中、人知れずサンジャタ君のお団子に
食らいついていたのは・・・
アタイ1人かも・・・テヘヘ
もし、本作を我が祖国で上演するとしたら・・・・
主演には
デヴィ夫人様
グラマラスでさばさばした老女優役
物怖じしないデヴィ夫人にピッタリ。
トシカプ評:★★
その他にも、この秋シーズンはハリウッド俳優の出演ラッシュ!
まずは、 ヒュー・ジャックマン様
新作芝居「ザ・リバー」で
二人の女の翻弄される漁師に扮する。
11月16日開幕
ブロードウェイ登場は10年ぶり?
グレン・クローズ様
過去のスター女優の儚さを演じた
彼女のミュージカル「サンセット大通り」は
私のベスト・ミュージカルの中の一本。
今シーズンの芝居「デリケート・バランス」では
4度目の離婚をした女を演じる・・
生クローズ様を拝めるなんて・・おちっこちびりそう?
11月20日開幕
ジュリア・ロバーツ主演「スリーデイズ・オブ・レイン」で
ブロードウェイ・デビューしたブラッドリー・クーパー。
添え物だった彼も今ではハリウッドの超大物スター!
今度は、主演男優として再演芝居「エレファント・マン」で再登場する。
12月7日開幕
3作品ともチケットの争奪戦が
繰り広げられることは必至!
なので、例え芝居自体が少々残念でも気にしない、
とにかくナマの有名人主演の舞台を拝みたい! ってアータは、
早めにチケットの手配をするが吉ヨ。
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
Samuel J. Friedman Theatre
261 West 47th Street
New York, New York 10036
先ずはおさらいからね、みなさん、はい♪
ジュークボックス・ミュージカルとは・・・
既存のヒット曲をちりばめて、
後付けストーリーでもって隙間を埋める、
比較的安全に、安直に出来ちゃうミュージカルの事。
制作側にとっては・・
ゼロベースから作詞作曲を始めて、
物語を紡いでいくのに比べたら・・・
はるかにラクチン。
楽曲のクオリティーや知名度&人気は既に保障済み。
宣伝や話題作りもカーンタン。
普段ミュージカルに
接する事のない
観光客からすると
知ってる有名人のお馴染みの曲を
口ずさめるという取っ付き易さは超魅力。
なので、ブロードウェイで上演された
ジュークボックス・ミュージカル、
枚挙にいとまがありません。
けれども舞台自体がヒットしたか、という観点からみると、
ABBAの「マンマ・ミーア!」
フランキー・バリーとフォーシーズンズの「ジャージー・ボーイズ」
キャロル・キングの「ビューティフル」 の3作くらい???
その背後には死体累々なわけで・・・
いくら知名度や、楽曲の人気度は折り紙付きってったって、
実際にお客様がガンガン入らなければ、
すぐに閉幕・・ってのがブロードウェイのキビシーイ掟。
そこで今回ご紹介したいのが、
これまたジュークボックス・ミュージカル「レノン」
(正式名称は『レノン~スルー・ア・グラスオニオン~』)
音楽好きなら知らぬ人はいない、
伝説のビートルズのメンバー、
ジョン・レノンのミュージカルなのです。
お察しの通り、ジョン・レノンのミュージカルはこれが始めてって訳は無く、
すでに2005年にミュージカル化されとりまして。
世界で最も知られた日本人、オノ・ヨーコも全面的なバックアップ
鳴り物入りの開幕当初の鼻息は荒かったのだけど・・・
世の中はそんな甘いもんじゃないの!
開幕2005年8月14日
閉幕2005年9月24日
たった一ヶ月ほどでブロードウェイ版は撃沈したのだよー!
さて、この度のオーストラリア産のオフ・ブロードウェイ版は・・・
開幕は10月15日。
内容的には、ジョン・レノンの人生と愛と平和を歌で紡ぐ構成。
その部分ではブロードウェイ版もオフ版もほぼ同じ。
その一方で相違点は・・・
オフ版は 超シンプル
舞台上にはグランド・ピアノが一台、
ステージ中央にはスタンドマイクが一本
ジョン・レノンを演じるジョン・ウォーターズの服装は、
黒のTシャツ、パンツ、皮ジャンという超ラフなスタイル
レノンに似せようと、カツラをかぶるわけでもなく
縁なし眼鏡かけるでも無し。
赤の他人のおっさまの本人の素のまま。
選曲も偉い違う。
ブロードウェイ版は、ビートルズの著作権が取れなかったため
ほとんどが、ビートルズを解散後のジョンの曲がほとんど。
それに比べ、オフ版は馴染みの多いバラエティに富んだ選曲
また、
豪華な装置があるわけでも、
ゴージャスな衣装があるわけでも、
凝った照明があるわけでもない。
役者の力量一本勝負!
オフ版、ジョン・ウォーターズ扮するレノンさんの、
語りには、心の襞まで表現されていると見たね。
派手派手ながら、「スターものまね王座決定選」ともいえるオンに比べると、
オフ版のレノンの方が、
魂の部分も含めて、
ずっとアーティスティック!
難をいえば、台詞を話すテンポがちょっと早過ぎる事。
観客の反応を見ながら、
間を持って話せば、
ライブとしてもっと楽しめるのに・・
実はこのウォーターズさん、オーストラリアでは、
1992年からこのショーやってるんだって。
まー、同じことを20年以上もやってれば、
寝てても台詞も歌も出て来る感じなんだろうし・・ 仕方なかっちゃね?
もうひとつ、ひとり芝居もいいのだが、
ピアノの伴奏者と言葉のキャッチボールをすれば
もっと演出に広がりが出るのではないかと・・。
食べ物を美味しく食べるコツ
たとえば、スイカ
塩を振って食べると・・
一層甘くなって美味しい!!
寿司飯だって・・・
ちょっと塩を入れると・・
味全体がまろやかに!!
そう、料理の決めては
甘さ、酸っぱさ、苦さ、塩辛さの加減と調和
っていきなり、おまえは桐島洋子かぁー!?って
ジュークボックス・ミュージカルも
料理と同じだと思うのよ。
笑だけでもダメ、
お涙頂戴だけでもダメ
懐古主義だけでもダメ
見かけだけでもダメ
それらが絶妙なさじ加減で、
すべてが調和したときに
人を強く心に残る作品ができるのさ!
もし,本作を我が母国でやるのなら・・
この超絶シンプル禅ヴァージョンのレノンさんを演じ通せるのは・・
モト冬樹さんの実の兄で、
「ルフラン」の井上望の旦那
エド山口さん!
見かけなんかどーでもいいの、
魂の籠ったレノンさんの
歌とつぶやきをお願いしたい!
来年2月21日までの限定公演
蛇足ながらご報告。
やれ安直だの安全牌だの言いながらアレなのですが、
小生カプチーノも、オフオフでジュークボックス舞台を画策中!
これまで見まくって来たジュークボックス・ミュージカルの良いトコ取りで、
濃ゆーい作品になる筈(汗)ですので、乞うご期待!
ブロードウェイってミュージカルって、楽しいだけでなく、
人生訓がいっぱい詰まった 素晴らしいもんなんですね。
トシカプ評:★★★
Union Square Theatre
100 East 17th Street
New York, New York